会社から「去年の給与を20万円多く払っていた」と連絡が!「今月の給与から差し引く」と言われましたが、もう使ってしまいました。返す義務はあるのでしょうか…?
給与の過払いに気付いた会社から、「多く払った金額分を返してほしい」と言われた経験はありませんか? すでにその金額を使い切ってしまった場合、返す義務があるのか疑問に思うかもしれません。また返済額を給与から差し引くとなると、金額によっては生活に困ることもあるでしょう。 本記事では、給与の過剰支給が発生した場合の返済義務やその対応方法について、法的根拠を踏まえて解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
給与の過剰支給が発覚した場合、返済義務はある?
民法第703条では、「正当な理由なく他人の財産で利益を得た者は、その利益を返還しなければならない」と不当利得の返還義務について定めています。つまり、会社が労働者に誤って支払い過ぎた給与は、基本的に返さなければならないのです。 この請求は、法律上、支払いから10年以内であれば行えますが、会社が過払いの事実を知った日から5年以上経過した場合は請求できません。また、返済を求める金額は、労働者がその事実を知っていたかどうかによって異なります。 ■労働者が過払いを知らなかった場合の対応 仮に労働者が給与の過剰支給に気付いていなかった場合でも、返済義務が生じます。たとえ会社に事務処理ミスがあって過剰支給を行っていた場合や、過剰支給に気付かなかった落ち度が会社側にある場合も、返還しなければなりません。 ただし、返済対象となるのは、手元に残っているお金に範囲が限られます。すでに使ってしまった分については、返済義務が免除される可能性があります。 ■労働者が過払いを知っていた場合の対応 一方で、過剰支給の事実を知りながら労働者がそのお金を使った場合、返済義務がさらに厳しくなる可能性があります。民法第704条では、「利益を得た者がその事実を知っていた場合、過剰支給分に利息を加えて支払う義務がある」とされています。この利息は年3%と定められており(民法第404条2項)、月ごとに過払い額の利息を計算します。 例えば、1年前に20万円の過剰支給があった場合、利息として約6000円を追加で支払う必要があるのです。このように、過払いに気付いていたのに申告しないでいると返済額が増える可能性があるため、気付いた時点で早めに会社に申し出る必要があります。