あなたの知らない札幌《トモエ醤油工場》後編 「昆布しょうゆ」にこだわり
【北海道・札幌】人口200万人の声も聞こえる北の大都市・札幌。その札幌には、多くの観光地や名物施設があります。とはいえ、札幌市民ですらそれらのすべてを知っているわけではありません。そこで「あなたの知らない札幌」と題した企画をスタート。第10回後編は、福山醸造株式会社の「トモエ醤油工場」で製造しているしょうゆについて同社製造管理部の斎藤勝章さんと営業サポート部の森清史さんに伺いました。(取材・構成/橋場了吾)
『昆布しょうゆ』は「醤油」ではなく「醤油加工品」
北海道の方々にとっては一般的な『昆布しょうゆ』ですが、ほかの地域ではほとんど流通していません。しかも、厳密にいうと『昆布しょうゆ』は「醤油」ではなく「醤油加工品」なのです。 ひょっとしたら、魚醤のようなイメージで「昆布から作る醤油」と思われるかもしれませんが、『昆布しょうゆ』は大豆・麦から作った醤油に昆布のだし汁を加えて製造します。ですので「醤油加工品」に分類されるわけです。 『昆布しょうゆ』はすっきりした後味が特徴の調味料です。一般的に「刺身醤油」というとたまり醤油のような濃い口を使用するようですが、北海道では『昆布しょうゆ』のようなだし醤油を使用することが多いですよね。当社の工場見学に来られた方には、この『昆布しょうゆ』の香りに誘われてそのまま寿司屋に直行する方もいるそうです(笑)。 そもそもなぜ北海道で『昆布しょうゆ』が受けているのか。それには2つの要素があると想像しています。まずは、北海道人ならではの味覚。もうひとつは北海道の海産物が淡白なものが多いため、濃い口醤油だと海産物の味を殺してしまうこと。これらに要因によって『昆布しょうゆ』が支持されているのだと思います。 「トモエの醤油」の特徴は手間ひまをかけることです。『昆布しょうゆ』は、100%北海道産の昆布を使用し自社工場でだし汁を製造しています。昆布エキスで代用している『昆布しょうゆ』もあるそうですが、トモエではそれは許されません。しかも、価格は変わらないんです。北海道の皆さんに美味しい醤油を使用してほしい、この思いだけで手間ひまかけた醤油を生産しています。