欧州「EVシフト」大誤算の舞台裏。旗振り役のフォルクスワーゲンに続いてボルボも窮地でついにバブル崩壊!
「欧州のEVシフトは世界最大のEV市場を持つ中国をアテにしていた。ところが、政府の手厚い支援を受けた中国製EVとの価格競争に欧州勢は惨敗......。挙句、中国デフレEVが欧州市場でシェアを伸ばしているわけですから、大誤算もいいところ」(欧州自動車メーカー関係者) そもそもの話だが、なぜ目の肥えた欧州市場で中国デフレEVがウケているのか? 「中国製EVの急激な進化を支えているのは、自動車開発のツボを心得た欧州や日本の元エンジニアたち。しかも中国政府の支援を受けて開発されている。欧州車に匹敵するレベルのクルマもあります」 ■EV市場縮小で日系メーカーに影響は? 一部メディアやSNSなどでは、昨年あたりから"EVバブル崩壊"がささやかれていたが、今年に入りそれがあらわになってきた。3月にはドイツ自慢の高級車ブランドのメルセデス・ベンツが完全EV化を撤回し、欧米の大手自動車メーカーはEVの開発を続々と中止し、ハイブリッドの市場投入を急ピッチで進めている。 そして今回のVWとボルボの発表。これらにより日系自動車メーカーに何か影響は出ているのか? 「9月6日、4年連続世界新車販売トップに立つトヨタが動きました。26年のEVの世界生産台数の計画をこれまでの150万台から100万台に縮小すると発表。一方で、"充電機能のついたハイブリッド"こと、PHEVの生産を拡大していく方針も同時に示しています」(自動車誌の元幹部) 実は中国BYDの今年1~6月の新車販売台数は161万台超なのだが、その内訳はEVが72万6200台(前年同期比17.7%増)で、PHEVが88万1000台(前年同期比39.5%増)。 つまり、世界に進撃を開始した中国自慢の二刀流メーカー、BYDの動きをトヨタはしっかり捕捉しているわけだ。では、2040年までにハイブリッドを含む内燃機関車の販売をやめると宣言しているホンダの動きはどうか? 「10月10日に軽商用EVの『N-VAN e:』を発売し、来年にはソニーグループと協業した高級EV『アフィーラ』を市場投入します。そして今後のホンダの象徴となる新型EV、ゼロシリーズサルーンの準備も整えています」 EVシフトをフル加速させるホンダだが、BYDがシェアを伸ばすPHEVがない。 「ホンダは8月に日産と三菱との協業を電撃発表しました。この3社連合はクルマの相互補完も視野に入れています。ホンダが商品展開していないPHEVは、三菱が持っています。ホンダは世界情勢がどうなっても対応できると思います」 混沌と苛烈を極める脱炭素カーの世界販売バトル。日本勢よ、出し抜かれるな! 取材・文・撮影/週プレ自動車班 写真/時事通信社 撮影/本田雄士 望月浩彦