『SPY×FAMILY』担当編集者も始動 「本気で漫画家を目指す方々をサポート」 漫画家育成プロジェクトの今
■熊本にある育成施設『アーティストビレッジ阿蘇096区』
さらに、2021年に熊本県高森町に開設されたのは、アーティスト育成施設『アーティストビレッジ阿蘇096区』です。 『週刊少年ジャンプ』の編集者として、漫画家の原哲夫さんや北条司さんらと『北斗の拳』『シティーハンター』などの作品を生み出した堀江信彦さんが代表取締役社長を務める、株式会社コアミックスが始めたこのプロジェクト。同施設では、漫画家のみならず、劇団員も技術を磨き、創作や表現に取り組んでいるといいます。 熊本県高森町にアーティスト育成施設を開設したことについて、株式会社熊本コアミックスの代表取締役社長・持田修一さんは、「日本は少子化にむかっていく中で、市場の縮小やクリエイターの減少はわかりきっているので、それを担保するシステムが必要になってきます。そのために若手の育成は不可欠であり、そして海外からも作家を集められれば、少子化は関係なくなります。コアミックスは2013年から、第1回サイレントマンガオーディションを開始。世界中で想像する以上に、日本のマンガを描きたいという方がいるということがわかりました。そして熊本地震から1年後の2017年に鶴屋百貨店にて、熊本国際漫画祭を開催。大きな反響をいただき、高森町の草村町長からマンガ文化の発展に協力したいとお声がけをいただきました」と、経緯を説明しました。 続けて、「海外や国内の地方(都心から離れた場所)の方々もマンガの世界へ足を踏み入れるハードルを下げるために、九州の中央に位置する熊本は立地的にとても優れており、2018年に熊本コアミックスが企業立地。本社コアミックスの業務委託で、外国人漫画家を育てる拠点としてできました」と明かしました。 対面ではなく、オンラインでも多くの作品が生み出されるようになった現代。同じ施設内で共に技術を磨くことの利点については、「最初はリモートで進めようともしましたが、作品から感じる熱量は、リモートで作った作品よりも、対面でコミュニケーションをとって作っていくものの方が強く感じました。オンラインで既存のコンテンツではいろいろなことができますが、新しい価値を生み出すには共同生活が肝心であり、一緒に同じ時間をすごすことがすごく大事だと考えています」と、語りました。 今後の取り組みについては、「今後も変わらず、マンガで日本と世界をつなぎ、そして継続的なマンガ文化の発展のための後続育成を目指します。それに加え、ただコミックとして読むマンガではなく、市場を拡大し続けているウェブトゥーンや漫画原作の舞台等、マンガを中心としたエンターテインメントの輪を広げていくことも私たちの課題だと考えています」と明かしています。