『SPY×FAMILY』担当編集者も始動 「本気で漫画家を目指す方々をサポート」 漫画家育成プロジェクトの今
■マンガ家育成シェアハウス事業『トキワ荘プロジェクト』
また、特定非営利活動法人LEGIKAが2006年8月から、経済的に自立が難しい若手アーティストを支援するために始めたのが、漫画家育成支援事業『トキワ荘プロジェクト』です。 このプロジェクトは、住まいの中で交流を図り、競争し合う環境の提供などを行っています。これまでに667人が参加し、142人(※参加前にプロデビュー実績がある人は含まない)が、漫画家としてプロデビューしているといいます。(2024年7月17日時点) 中でも、最大規模のシェアハウス型の拠点となるのが、2021年6月1日にグランドオープンした『多摩トキワソウ団地』。プロジェクトの責任者・菊池蓉子さんによると、『多摩トキワソウ団地』では、7人が入居後にプロデビュー(※参加前にプロデビュー実績がある人は含まない。2024年7月17日時点)、部屋数が50以上ある中、毎年空室待ちの登録者が10人前後いる状況だということです。 近年では、漫画家を目指す海外の人からのプロジェクトへの問い合わせも増えているそうで、実際に入居し、日本でプロデビューをした人もいるといいます。 菊池さんは、こうした流れについて「私どもの取り組みを取り上げたいと海外の有力メディアから個人のYouTuberの方まで複数連絡をいただくこともあり、海外の漫画家への興味関心は高いと感じています。漫画は国内外問わず人気なエンターテイメントの一つであり、インターネットやSNSの普及により、自分の作品を発表する場が増えたことで海外の方へ漫画文化がより浸透しているのも理由の一つかと思います」と話します。
■住まいの提供にとどまらず、編集部機能を併設
また、『トキワ荘プロジェクト』は、これまでプロデビューを目指す若手作家に向けた住まいの提供に重きを置いてきたということですが、2023年から『フェーズ2(第2段階)』と位置付けているそうで、「作家として中長期的に活躍できるエコシステム(経済圏)の実現を図るため、取り組みをさらに大きく変化させています」と明かしました。2023年8月には、育成対象の作家と共に、出版社などに向けたマンガ作品の制作やプロデュースを行う、マンガ制作機能『レジカスタジオ編集部』をスタートさせています。 菊池さんは、フェーズ2への移行について「住まいの提供にとどまらず、編集部機能を併設することにより、可能性のある作家の発掘や有望な作家の専属化、そして専属作家への重点的な指導・売り込み・作品プロデュースなどが加わりました。また、居住する漫画家を完全に自社事業の専属作家として取り込み、いわば『社員寮』のようにするのではなく、作家性の方向性に応じて適した出版社・編集部へと導き、総合的にサポートする取り組みとしています」とし、「LEGIKA自身が多様な取引先を持つ中立的なディベロッパーとして活動することで、プロデビュー後の長い道のりにも伴走し、幅広いゴールを見いだし、支援していく体制が整いました」と、語りました。 また、今後は満室の状況で入居希望の人がすぐにプロジェクトに参加できないという課題に対応するため、住まいの取り組みを強化し、大規模シェアハウスを運営している企業とコラボレーションした提携タイプの拠点を近日中にオープンする予定だということです。