「ダークな性格」の3つ分類…サイコパス、ナルシシスト、あと1つは?
これらの心理尺度を使ってダーク・トライアドを測定すれば、それだけで80項目以上、心理尺度の組み合わせによっては100項目以上の質問項目に回答を求めなければいけなかったのです。 このような研究手続きの様子を見ると、たった12項目でダーク・トライアドの3つの心理特性を測定できるというのが、いかに画期的な研究だったのかが想像できるのではないでしょうか。 そして実際に、DTDDが発表されて以降の2010年代は、ダーク・トライアドに関連する研究が世界中で爆発的に増加した時期でもあったのです。 ● 研究が進み簡便になった ダーク・トライアドの測定 この頃、特にヨーロッパで開催された性格心理学会に参加すると、ダーク・トライアドに関連する研究発表がとても多くなったという印象がありました。 そこで発表されていた研究にも触発されて、ヨーロッパで開かれていた学会に参加していた日本人研究者たちと一緒にDTDDの日本語版を開発し、論文が公表されたのは2015年のことでした。
DTDDはダーク・トライアドの測定をきわめて簡便なものとした意義は大きいのですが、その一方であまりに簡便化しすぎているのではないかという批判も行われます。 そこで、マキャベリアニズム、サイコパシー、ナルシシズムが意味する多様な内容をもう少し加味した形で、かつ比較的簡便にダーク・トライアドを測定することができないかという目的で開発されたのがShort Dark Triad(SD3)という心理尺度でした。 開発したのは、ダーク・トライアドの提唱者であるデル・ポールハスと、その指導生で現在はネバダ大学リノ校の心理学者ダニエル・ジョーンズです。SD3はマキャベリアニズム、サイコパシー、ナルシシズムそれぞれを9項目、合計27項目でダーク・トライアド全体を測定します。 12項目のDTDDほど少ない質問項目数ではないのですが、DTDDよりもダーク・トライアドが意味する多様な内容を含んだ測定ができるのではないかと期待されていました。 なお、このSD3の日本語尺度は2017年に発表されています。ダーク・トライアドを測定する代表的な心理尺度であるDTDDとSD3が日本語化されたことで、日本でもダーク・トライアドの研究が行われるようになってきました。