「ダークな性格」の3つ分類…サイコパス、ナルシシスト、あと1つは?
そもそも、心理学で性格(パーソナリティ)という概念は、どちらかというと価値中立的なものとして扱われてきた歴史があります。 しかし授業のなかでもよく「よい性格とは何ですか」「悪い性格とは何ですか」という質問を受けることもあります。性格の良し悪しは、その性格の内容で決まるわけではありません。 性格の良し悪しは「どのような結果に結びつくか」で判断されます。よい結果に結びつくことが示された性格は「よい性格」であり、悪い結果に結びつく性格は「悪い性格」なのです。 簡単に思えますが、しかしそんなに簡単な話でもありません。性格がよい結果に結びつくか悪い結果に結びつくかは、状況との兼ね合いにもよるのです。 ● 外向的な性格の人物も 状況次第で「望ましくない」性格に たとえば、1人でいることよりも多くの人と一緒にいる場面を心地よく感じる外向的な人物は、社会的な関係が求められる場面では「よい」性格だとみなされます。 しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が広がり、国や自治体から自粛要請が出ているような状況下では、外向的な人物はストレスフルになったり、自宅待機をすることにがまんができず無理に外出することで感染を招いてしまったりする可能性もあります。このような状況下では、外向性という性格特性は「望ましくない」ものになるというわけです。
一方で、ポジティブ心理学のムーブメントは、明らかにポジティブで望ましい心理特性やよい性格というものを正面から研究として取り上げるハードルを下げる効果をもたらしたと言えます。 将来のポジティブな結果を期待する「楽観性」、ネガティブな出来事を経験して落ち込んだ状態からうまく回復する「レジリエンス」、人間関係や自然やさまざまなことに対して抱く「感謝」、物事をやりぬく力となる「グリット」、自分自身にポジティブな感覚を抱く「自尊感情」、自分を受け入れる「自己受容」、瞑想状態になりストレスを緩和する「マインドフルネス」、人生や生活について満足する程度である「人生満足度」や「生活満足度」、心身共に満たされたれた状態である「ウェルビーイング」など、ポジティブ心理学のムーブメントの中で発展してきた研究テーマは非常に数多くのものがあります。 ダーク・トライアドは、このポジティブ心理学のムーブメントの裏面にあたるような存在です。 ポジティブ心理学の広まりとともに、より「望ましい」とされる心理特性やよい性格を大きく取り上げる機会が広がっていきました。その流れに呼応するように、より「望ましくない」、より「悪い」と考えられる性格特性そのものを研究することについても、抵抗感が薄れていった印象があります。