米国、ウクライナにパトリオットを追加供与へ 防空危機で2基目
米紙ニューヨーク・タイムズは11日、バイデン大統領がロシアの侵攻を受けるウクライナに防空システム「パトリオット」を新たに1基供与する方針を承認したと報じた。ウクライナが4月に支援国に最低7基の追加供与を求めたが、これまでに応じたのはドイツだけで、リーダー格の米国に対する圧力も高まっていた。 【写真まとめ】ウクライナ侵攻2年 戦禍の風景 報道によると、バイデン氏は先週、追加供与を決定した。ウクライナの隣国ポーランドに配備しているシステムを移送する。今後数日以内にウクライナの前線に配備される予定。米国によるパトリオット供与は2基目となる。ドイツは既に3基目の供与を決定。オランダも1基を供与している。オランダはシステムの構成品を出し合って追加供与する計画を打ち出している。 ウクライナは2022年2月の全面侵攻開始以降、ロシアによるミサイルや無人航空機(ドローン)の攻撃に悩まされてきた。旧ソ連製の防空システムとパトリオットを併用して防衛してきたが、最近は迎撃弾の不足で敵ミサイルの迎撃率が下がり、電力インフラなどへの被害が拡大していた。ただ、米欧側も自国の安全保障が最優先で、防空システムの追加供与には慎重だ。 一方、米メディアによると、米政府はウクライナ内務省傘下の戦闘部隊「アゾフ旅団」に対し、米国製兵器の使用を解禁すると決めた。14年に親ロシア派に対抗するために結成された義勇兵部隊「アゾフ大隊」がルーツで、22年の南部マリウポリ防衛戦で最後まで露軍に抵抗して英雄視された。ただ、創設当初から極右思想の影響が指摘され、米国は人権侵害のリスクを考慮して兵器使用を認めていなかった。米国務省は審査の結果、「人権侵害の証拠はない」と判断したという。【ワシントン秋山信一】