「若い頃の福留みたい」韓国の新星・21歳の金倒永 “彼を最も知る男”中村武志さんが明かした人柄と泣きどころ
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って・侍ジャパン編 ◇15日 「ラグザス presents 第3回 プレミア12」1次リーグB組 日本6―3韓国(台湾・台北ドーム) 韓国球界に現れたニュースター・金倒永を最も知る男は沖縄県金武町で秋季キャンプ中だった。 「ひと言で言えばおとなしく、まじめな子。韓国では割と先輩、後輩の上下関係があるとはいえ、年上には礼儀正しいしね」 中日OBの中村武志さんは金倒永が所属する起亜タイガースのバッテリーコーチを務めている。今季は打率3割4分7厘(リーグ3位)、38本塁打、109打点。抜群の数字を残した金倒永を人柄でも褒めた。14日のキューバ戦(台北・天母)ではモイネロ(ソフトバンク)からグランドスラム。「あれはオレもたまげた!」と笑いつつ、いかに優れた打者かを説明してくれた。 「オレの目が(打高投低の)韓国に慣れているというのはあるけど、頭ひとつ抜けてるよね。今いる(国内組)中ではナンバーワン。インコース、変化球、横(の変化)への選球眼、速い球、高め…。弱点と言えるところがないんだよ」 足も速く40盗塁、143得点を記録した。そんな新星の唯一の泣きどころは「二重丸をつけたくなるくらい」と笑う拙い守備力だ。「右と左の違いはあるけど、若いころの福留(孝介)みたいなイメージかな。だから外野に回せば日本やメジャーでも活躍できると思うよ」と将来の海外移籍にも太鼓判を押した。 パワーもスピードも兼ね備える強打者だが、僕は彼の根っこにある旺盛な闘争心が強く印象に残っている。昨年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップの日本との決勝戦。タイブレークに突入した延長10回、無死一、二塁で遊ゴロ併殺打に倒れたのが金倒永だった。一塁に頭から突っ込んだ。裏の守備から交代。左手親指を痛め、帰国後に手術したとあとから聞いた。 これで日本の9連勝とはいえ、火花散るのが日韓戦。高橋宏は156キロの速球と147キロのスプリットで2個の三振を奪った。22歳の剛腕と21歳の強打者。どちらも悔しい思いで試合を終えただろうが、この先、彼らは何度も戦う。それが宿命というものだ。
中日スポーツ