「これまで『ダサい』といわれたから“センスのいい人”に見られたら」茨城とソウルのアクセントは同じ“無型”だった
10年あまり前、芸人が次々に登場し、ネタを披露するテレビ番組で人気を博した赤プルさん。出身地の茨城弁を前面に押し出したトークで笑いをとるが、故郷の言葉にコンプレックスがあったという。 お笑い界に入る前「イベントの仕事をしていて、次は、ナレーターに進んでいこうとレッスンを始めたところ、数字のアクセントが克服できず、あなたは無理ですねと言われた。多分『七(なな)』のアクセントが共通語と違った」(赤プルさん) 韓国では、平坦にも聞こえる「無型アクセント」の言葉が標準語ですよと、赤プルさんに伝えると「茨城弁はダサいと言われてきたから、このしゃべり方が“センスのいい人”に見られたらうれしい。わざわざ、共通語に変えなくてもいい。勇気が湧いた」と答えてくれた。 ■“宮崎弁”や“茨城弁”はむしろなまってない!? 日本語の「無型アクセント」は、各地方でアクセントが単純な方向へ変化し、最終的になくなったものだという説のほかに、日本語の最も古い形として「無型アクセント」は元々広く話されていて、そこに大陸からアクセントのある言葉が持ち込まれ、影響を受けて、日本語は次第にアクセントを持つようになるものの、それが波及せず、現在まで残っているのが「無型アクセント」だという説もある。 「なまり」を漢字で書くと「訛り」。「言」偏に「化ける」だ。字が示す通り、言葉が時代とともに変化したものが「なまり」だとすれば、後者の説に基づく茨城県や宮崎県のアクセントは、変化をしていない最も古い形なのだから「なまり」ではない。「なまって」いるのは、むしろ、東京をはじめとするアクセントのある地域の言葉だと言えるのだ。 (SBSアナウンサー 野路毅彦)
静岡放送