トランプ氏勝利、日米の市場は株高・円安で反応…日銀の利上げ判断に影響も
米大統領選で共和党のトランプ前大統領が勝利したことを受け、日米の金融市場は株高・円安で反応した。トランプ氏が掲げる減税や規制緩和に期待が集まる一方、インフレ(物価上昇)再燃で景気後退のリスクもくすぶる。円安・ドル高が一段と進めば、日本銀行の利上げ判断にも影響しそうだ。
当選確実が伝わった6日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価(30種)は前日比1508・05ドル高の4万3729・93ドルで取引を終えた。10月18日に記録した史上最高値を400ドル以上更新した。
トランプ氏が金融機関の規制緩和に取り組むとの見方から、金融大手ゴールドマン・サックスは13%、JPモルガン・チェースは12%値上がりした。トランプ氏を支援したイーロン・マスク氏が率いる電気自動車大手テスラは15%高だった。
第1次政権の4年間で、ダウ平均は1・5倍に上昇した。再現を期待する投資家は多く、就任前から政策効果を織り込む「トランプ・トレード」の様相を呈している。
7日の東京株式市場では、日経平均株価(225種)は小幅安となったものの、前日はトランプ氏の勝利を織り込んで1000円超値上がりした。米株式市場が好調を維持すれば、日本の相場を下支えしそうだ。
対ドルの円相場も、大きく動いた。6日午前に市場でトランプ氏優勢が伝わると、3円超下落し、1ドル=154円台と約3か月ぶりの円安・ドル高水準をつけた。
2016年の大統領選直後も円相場は大きく動いたものの、第1次政権を通じて1ドル=100~110円台で推移しており、現在と比べれば大幅に円高・ドル安だった。今後、トランプ氏が掲げる追加関税などが実現すれば、米国内で再びインフレが進み、円安・ドル高基調が強まりそうだ。
12月以降の金融政策決定会合で追加利上げを検討する日銀は、円相場の動向を注視している。円安が加速すれば、輸入物価の上昇で国内のインフレ圧力が高まり、利上げ判断の前倒しを迫られる可能性があるからだ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大島一宏氏は、「12月の利上げの可能性は、大統領選の結果で高まった」とみる。ただ、ドル高是正を志向するトランプ氏の発言が今後、円相場に影響を及ぼすおそれもある。(ニューヨーク支局 小林泰裕、大塚健太郎)