「鍋って、食べたことない」 食事は「昔からひとりだった」同僚の言葉に… マンガ夜廻り猫
「鍋って、食べたことがない」と言う同僚を、自宅の夕食に誘うと――。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、SNSで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、冷え込んできた夜、男性ふたりのエピソードです。 【本編はこちら】「鍋、食べたことない」と打ち明ける同僚に… マンガ夜廻り猫
「すごくうまい、初めてだ…」
冷え込んできた、仕事帰りの夜。 「鍋にでもすっかなー」と言う男性に、同僚が「ひとり暮らしでしょ?」と驚きます。 「俺、食べたことないんだよね」「昔から食事はひとりだったから、鍋って食べ方もわかんない」「もはや手も出しにくい」と同僚は言います。 男性はさらりと「じゃ、ウチ来て食う?」「鎌田家流鍋、食わしてやる」と誘います。 水とだしを入れた鍋に、冷凍の油揚げ・白菜、豚肉を入れて、濃いめに味噌(みそ)をといて煮立ったらできあがり。 「すごくうまい、初めてだ…」と感極まる同僚に、男性は「これまでに絶対食ってるって!これ、ほぼ味噌汁じゃん」と笑います。 「でもシメに雑炊を食うと、鍋食った気がしてくんのよ」と男性。ふたりは笑いあいます。 心の涙の匂いをかぎつける猫の遠藤平蔵は、そのようすを見ながら「うむ」と頷くのでした。
「弱さを見せまい」としがちな男性に…
作者の深谷かほるさんは、「男性同士が笑いながら、肩を押し合ったりしながらしゃべるようすはいいですよね。リラックスした楽しそうな様子というのは、見ていても楽しいものです」と話します。 過去にあった「男は泣くな」「男のくせにおしゃべり」「女のくせにかわいげがない」といったジェンダーへの圧力ですが、「建前からは消えましたが、今も男性が強くあらねばならないというプレッシャーは根深い気がします」と深谷さん。 「男性は人に弱さを見せまいとしがちではないでしょうか。『自力で頑張る』というのは一見立派かもしれませんが、人間関係ではさらりと弱味を出せるというのも大事なことです。私も『できる努力はしているから、装う必要はない』という感じでいたいと思っています」と話しています。