坂東玉三郎が「染五郎」「左近」若手を次々ご指名のワケ 歌舞伎界を取り巻く“厳しい状況”が背景に
市川團子をふびんに思い……
年の瀬の12月には、泉鏡花による同名戯曲を原作とする「天守物語」の上演が予定されている。姫路城に住む美しい妖精の富姫と、若き鷹匠・図書之助の幻想的な恋を描いた作品だ。 歌舞伎座関係者の解説。 「玉三郎は市川中車(58)の長男・市川團子(20)と共演します。これまで玉三郎は、團子が属する澤瀉(おもだか)屋との共演経験は乏しかった。それが、今年3月には團子が主演したスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』に足を運ぶなどしていましたね」 周知の通り、澤瀉屋には不運が続いている。昨年9月に市川猿翁が死去。2カ月後には、一門の宗家を務めていた市川猿之助(48)が、両親に対する自殺ほう助罪で懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受けた。本人はいまも活動を自粛中だ。 「玉三郎は将来的に澤瀉屋を背負って立つ團子をふびんに思い、自らの手で鍛えようと考えたのでしょう」 若手への愛は実を結ぶか。
「週刊新潮」2024年10月31日号 掲載
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