杉本彩さん「正直がっかり、納得いかない」 犬虐待事件 麻酔なしで帝王切開、452匹が劣悪環境で衰弱 元販売業者代表に懲役1年と罰金10万円求刑 被告側「鎮痛剤は使った」”殺傷”は無罪主張
長野県松本市で起きた犬の虐待事件の裁判で、麻酔を使わずに犬に帝王切開をしたなどとして、動物愛護法違反などの罪に問われている元販売業者代表に15日、懲役1年・罰金10万円が求刑されました。刑事告発した団体の杉本彩理事長は傍聴後、求刑に「正直がっかり、納得いかない」などと述べました。
動物愛護法違反の虐待・殺傷の罪などに問われているのは、犬の販売業者の元代表・百瀬耕二被告(62)です。
無麻酔で帝王切開 検察「極めて残虐で悪質な行為」
2021年、犬900匹以上が劣悪な環境で飼育されていたことが発覚。捜査を経て、検察は市内2カ所で452匹を衰弱させた虐待の罪で起訴、さらにフレンチブルドック4匹とパグ1匹に麻酔をせず帝王切開を行い、腹に傷を負わせた「殺傷の罪」で追起訴しました。 15日の法廷で、検察側は「無麻酔で帝王切開を行い、犬に苦痛やストレスを与えた。極めて残虐で悪質な行為」などとして、懲役1年と罰金10万円を求刑しました。
被告側「鎮痛剤を使った」と『殺傷』は無罪主張
一方、被告側は「鎮痛剤を使っており、みだりに傷つけてはいない」として、「殺傷の罪」については無罪を主張。虐待や狂犬病の予防接種を受けさせなかった罪については「真摯に反省している」などとして、執行猶予付きの判決を求めました。
被告「傷を負った犬が出たことは申し訳なく思う」
法廷で百瀬被告は「犬たちの命を最優先に考えて行動してきた。傷を負った犬をたくさん出してしまって申し訳なく思っている」などと述べました。
杉本彩さん危惧「事業者の虐待、軽んじられないか」
事件を告発し、初公判から裁判を傍聴する「動物環境・福祉協会Eva」の杉本彩理事長は傍聴後、次のように述べました。 杉本彩理事長: 「この程度かというところで、正直がっかりしています。私たちだけじゃなく、世の中の感覚として、厳正に裁いていただいてるとは到底思えない。長年、たくさん傷ついて死んでいった犬もいるわけですから、(求刑には)本当に納得はいかない。これで終わっちゃったら、事業者の動物虐待が非常に軽んじられないかと危惧されます」 「利益をむさぼって、無免許で無麻酔で帝王切開する、はっきり言って私から言わせれば猟奇的としか思えない。(「殺傷」無罪主張については)真から反省して悔い改めてる感じはないなと」 「告発によって事件化したことが唯一良かったなと思えるところではあるけど、まだまだ 動物虐待が厳正にさばかれる時代が来るには、まだまだやらなきゃいけないことはたくさんあるなと改めて感じています」