男子110メートル障害、村竹ラシッドがパリ切符 東京五輪選考で失格「やっと解放された」
パリ五輪代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権最終日は30日、新潟市のデンカビッグスワンスタジアムで各種目の決勝が行われ、既に五輪参加標準記録を突破していた男子110メートル障害の村竹ラシッド(JAL)が13秒07の好タイムで勝ち、日本陸連の選考基準を満たして代表入りを決めた。 【写真】自身のタイムが表示された掲示板を指さす村竹ラシッド ゴール後、村竹は膝をつき天を仰いだ。既に参加標準記録(13秒27)を突破しており、優勝すれば即内定のレースで自らが持つ日本記録(13秒04)に肉薄する13秒07で初優勝。「ここがゴールではなくスタート」と力強く言い切った。 共に日本記録を持ち、先に五輪内定を決めていた泉谷駿介(住友電工)が不在のレースで貫禄を見せた。1台目のハードルをひっかけるなど序盤はもたついたが、中盤からぐいぐい加速。東京五輪経験者の高山峻野(ゼンリン)をも置き去りにした。 東京五輪の代表選考会だった3年前の日本選手権は不正スタートで失格。世界選手権が懸かった昨年大会は肉離れで欠場するなど、実力はついているのに世界に挑戦できない悔しさも味わった。 「やっと解放されたなというのが正直な感想。自分の無力さだったり、世界との壁だったり、負けた相手の実力だったり、色んなものが自分を苦しめた」 自身初の五輪の舞台へ。「今季はまだ3戦目。もっともっと記録が出せると思っている」。呪縛から解き放たれたハードラーが世界にその名をとどろかせる。(石原颯)