朝ドラ『虎に翼』美佐江役で話題に。俳優・片岡凜にインタビュー。
InstagramやTikTokで見せる圧倒的に透明な美少女感。Xに綴られるシニカルな視点とセンス抜群なテキスト。そして、NHK連続テレビ小説『虎に翼』では、不穏な空気をもたらす美佐江を演じて世間をざわつかせた。 【画像】『君が嘘をついた』麻生祐末をオマージュ!片岡凜をモデルに迎えたファッション写真 掴みどころがない、その時々でガラリと印象が変化する話題の人。そんな彼女の素顔を覗いてみたくて。GINZA11月号(10月11日発売)に登場してくれた俳優・片岡凜さんのWEB限定インタビューを、本誌未公開カットと共にお届けします。
──GINZA11月号で、昭和後期のテレビドラマをオマージュした企画『トレンディなヒロインのように』(P90-93)にモデルとして登場。まずは撮影の感想を教えてください。 暑い中で冬服を着て撮影することが初めてだったので、すごく新鮮でした。真夏のように太陽が燦々と降り注ぐ中(当日は残暑厳しい30度超え!)で寒さを表現するなんて、普段のお仕事では考えられなくて面白い体験でした。 ──ファッションやトレンドには敏感な方ですか? 興味はあるけど、基本的にシンプルでベーシックなものが好き。今日着た中では、ボートの上で撮った『君の瞳をタイホする!』(1988年/フジテレビ)の浅野ゆう子さんの着こなしが好きでした。品が良くて、でもカジュアルな雰囲気で。昭和という時代をインスピレーションにしているけれど、今見ても全く違和感がないってすごいですよね。 ──そのあたりのドラマよりはかなり前になりますが、『虎に翼』も戦後すぐの昭和の話ですね。 まず当時の文献を読んで、時代背景と理想とされる女性像やその社会的立場を調べることから始めました。私が演じた美佐江と美雪はかなり独特なキャラクター。“彼女ならどう考えるか”を基準に、上品なルックスからは想像もつかないような秘めた内面を表現したいと思いました。 ──平成生まれの片岡さんにとって「昭和」はどんなイメージですか? 父の趣味で、それこそ幼い頃からトレンディドラマが家で流れていることが多くて。ヒロインがみんなひたむきで前向きだし、人としての強さや明るさを感じて本当に素敵だなという印象があります。社会全体もすごく活気があって、ポジティブなムードにあふれている。この時代に生きてみたかったな、タイムスリップしてみたいな、と思っていたので、今回の企画を聞いたときにワクワクしました。そう考えると、同じ昭和でも『虎に翼』とは全く違う。世の中が大きく変わったパワフルな時代ですね。 ──片岡さんのお父さんと言えば…! Xにもたびたび登場して、破壊力あるその内容に存在が気になって仕方がありません。 お父さんが可愛くて仕方なくて(笑)。私があまりにベタベタするのでたまに嫌がられます。スケジュールが空くとすぐに地元の群馬に帰って、父とずっと遊んでます。昔から俳優になりたかったのですが、まずは色々な人に自分のことを知ってもらおうと高校生の時にTikTokを始めました。それも父が撮影して、動画の編集も手伝ってくれています。 ──独特の言語感覚と感性も人気の理由ですが、それもお父さんの影響が強い? 小学生の頃から小説を書いていました。父が文を書く仕事もしていたので、教えてもらったりはしていましたね。その頃は確か青い竜の話を書いていたかな。あとは、昔から読書もすごく好きです。ずっと伊坂幸太郎さんの作品を愛読していますが、今読んでいるのは『罪と罰』(フョードル・ドストエフスキー著)。難しいので、何回も前のページに戻ったりしつつですが…。 ──そんな文学少女が、俳優の道を志したきっかけは何だったのでしょうか? 大きなきっかけがあったというよりは、映画やドラマなどが自然と入ってくる家庭環境だったのかなと思います。ちょっとした呼吸や目線で、観ている人の心を動かせるってすごい仕事だなと思っていて。そこから、表現者に興味を持ちました。 ──ご登場いただいたGINZA11月号はドラマ特集ですが、好きな作品や俳優さんはいますか? アメリカのTVドラマ『ブレイキング・バッド』の役者さんたちの演技は本当に凄い。ブライアン・クランストン演じる主人公のウォルターのハードボイルドなムードに夢中になりました。最近見たのは、話題になったNetflixドラマ『地面師たち』や『危険な関係』(1991年/フジテレビ)。どちらも豊川悦司さんが素晴らしくて! ──そういった情報収集は、やはりSNSから? 実は、普段SNSは全く見ないんです。エゴサーチとかもしないし、一日中スマホなしでも平気で過ごせます。趣味や興味の赴くまま、自分の足で直接色々なところに出かけてみることのほうが多いですね。あとはやっぱり父からの情報も(笑)。『危険な関係』を教えてくれたのも、父でした。 ──今月からは、出演される日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』もスタートしますね! 監督とプロデューサーは、デビュー作品と同じ方なんです。衣装合わせで2年ぶりくらいにお会いして、なんだか懐かしい気持ちになりホッとしました。舞台は、昭和の高度経済成長期にある端島と、閉塞感ある現代の東京。私が出演するのは、現代パート。(『虎に翼』での)美佐江さんとは違って、安心して観ていただける役だと思います(笑)。スタッフからキャストまで憧れの方々が勢揃い。そんな素敵な作品に関われることが嬉しいし、私も一瞬一瞬を大切に頑張りたいと思います! 片岡凜 かたおか・りん>>2003年生まれ。NHK連続テレビ小説『虎に翼』でみせた森口美佐江・並木美雪役での高い演技力で世間を賑わしたばかり。デビュー作『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』(2022年/TBS)の製作陣も参加する、10月20日スタートの日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(毎週日曜夜9時/TBS)への出演も要注目。 Photo_Naoto Usami Styling_Mayu Takahashi Hair_NORI TAKABAYASHI(YARD) Make-up_Suzuki Text_Kanako Uchida