緊急脱出時は「先に逃げて」と思っていたけど…車椅子ユーザーが航空機事故を踏まえ、考え直したこととは
いざというときに「どう伝えるべきか」
はつみさんは、投稿に寄せられたコメントについて、次のように話しました。 「みなさん一緒に考えてくださり『助からないなんて思うなよ俺が助けてやるから』という寄り添ってくれる言葉だけでもとても励みになりました。また、具体的に救助道具を教えてくださったのがとても助かりました。簡易的な担架のようなものの購入を検討しています。そして本業の方やマニュアルをご存知の方からは『置いていきたくても、そういう決まりなので置いて行けません』という意見があり、それは本当にそのとおりで、絶対私を助けなきゃいけないなら、迷惑かけないように協力しようと、積極的な気持ちになりました」 しかし、いざというときに車椅子ユーザーがとった方がよい行動についてはまだわからない状態だといいいます。 はつみさんがお風呂で転落しかけたとき、家族が駆けつけても、家族もはつみさん自身もどう支えて起こせばよいのかわからず試行錯誤するそうです。そのような経験から「とりあえず私のような足が動かないタイプは後ろの首根っこを掴むか、肩を羽交い締めのようにして引きずってシューターに落としてもらうのが1番かな」と考えているといいます。それでも飛行機の床の素材によっては相当力が必要とのことです。 はつみさんは「人生で1回くらい練習できたら具体的にお願いできそうですね。私が積極的にできることは、体に管を入れることがあるのですが、管をつけていると避難のときに面倒だし私も思わぬ怪我をしそうなので、管はなるべく外していようと思いました。そして体重を自堕落に増やさない、ですね」と、自分にできそうなことを話していました。
車椅子ユーザーになった経緯
はつみさんはブログを運営していますが、そこで得た収入はすべて寄付しています。それは、自身の入院の経験から、医療者、患者共にサポートが必要だと身に染みて感じたことが理由だそうです。 はつみさんが車椅子ユーザーになったきっかけは、仕事中の転落事故でした。 工場の屋根の上の清掃を自主的にやっていたところ、梁ではなく弱い部分を踏み抜いてしまいコンクリートの地面にお尻から落下。1番重い障害等級の脊髄損傷の完全麻痺となり、今の医療では再生医療でも治らないだろうといわれました。 車椅子ユーザーになったことで気づいたことについて、はつみさんは次のように話します。 「車椅子ユーザーになってから気づいたことは、航空機、鉄道などで必ず声をかけてもらい、大変配慮していただいてるなと思いました。鉄道では、私はエレベーターで移動、スロープを持った駅員さんは階段を走るということがあります。航空機では、格安航空のときは大変で、私だけのために輸送車のような大きな車で搭乗機まで運んでもらいます。私のためにたくさんの方が動いてくださってありがたいです。そして、荷物として預けた車椅子はとても丁寧に運んでくださいます。車椅子になってからまだ3年ですが、みなさん優しくて助けていただいてばかりです」 そして、はつみさん自身ができることについて「道案内や、落とし物のお声がけなど車椅子でもお役に立てることもあるようです。自分を甘やかさず、体力をつけて元気でいることが社会の一員としての私に役割だろうと思っています」と話していました。 はつみさんが話していたように、どのような障がいを抱え、どのようにサポートするのがいいのかは人それぞれ異なります。いざというときのことを考えることは大切ですね。
ほ・とせなNEWS編集部