日産のカーボンフリーへの取り組みがガチ! 工場をエタノール燃料の燃料電池で稼働させる仕組みを公開
■2050年の目標に向け、第一歩を踏み出した
前述のように、日産では2050年までにすべての生産拠点での発電をこの「SOFC」でまかなうという目標を掲げていています。 今回の発表では、その目標達成の第一歩ということで、2024年の2月末に初めて「SOFC」を中核とした独自の「e-Bio Fuel Cell」燃料電池システムを稼働させ、初めての発電を実現したとのことです。 実際、いまはまだ実験段階の域を出ていないということもあって、その発電能力の数値は3kWという微々たるものですが、完全自社開発による、将来の日産の生産を支える装置のシェイクダウンということで、開発に携わったスタッフの感慨もひとしおでしょう。 今後の展望としては、2027年までにメタル・サポートセルの実現で発電量を5kWに向上、2029年には4倍の20kWに、そして目標年である2050年までにはシステムの増産を本格的に進めて、日産のすべての生産拠点の電力をまかなう450GW/年※という膨大な発電量を実現するとのことです。 ※ざっくり30億世帯分の年間消費電力量相当
■栃木工場の見学では、鋳造ラインの電化が進んでいた
「e-Bio Fuel Cell」燃料電池システムの発表会のあと、実際の工場での電化に向けての取り組みも披露してもらいました。生産プロセスのなかでもっともエネルギーを消費(鋳造セクションだけで、栃木工場全体の50%を占める)するアルミの鋳造工程では、従来のガス釜によるアルミの溶融から、徐々に電気釜の溶融に切り替えているのを目の当たりにすることができました。 電化することで鋳造プロセスと溶融釜が隣接できるため、設置スペースが少なくでき、熱の損失が最少で済み、CO2の排出は45%削減できているとのこと。 生産の現場を見学して、着々とカーボンフリーの実現に向けて歩みが加速していることが実感できました。このペースなら、5年、10年後には想像を超える変化が訪れていることでしょう。そのときにまた見学をしてみたいものです。
往 機人