日産のカーボンフリーへの取り組みがガチ! 工場をエタノール燃料の燃料電池で稼働させる仕組みを公開
日産が新たな発電設備を自社工場内で運用開始
いまの世は、限りあるエネルギーを有効に無駄なく活用して、自然への影響を最小に留めることが、活動の最重要課題になっています。 【画像】日産が発表した「SOFC」を利用した発電設備の画像を見る(36枚) 自動車でいうと、実用性を犠牲にしないで消費する燃料をできるだけ少なくしつつ、排出する熱や環境に影響のある成分を限りなくゼロにしようと各メーカーが取り組んでいます。 自動車の環境対応具合は、私たち消費者が身近なシーンで運用していることから注目度が高いのですが、自動車を生産している工場では、自動車単体とは桁の違う量の燃料を消費して製造をおこなっていますので、生産現場での環境対応もメーカーとしては製品に負けないくらい重要な要素として取り組みを行なっています。 今回、日本の主要自動車メーカーの一角である「日産自動車」が、生産サイドでの環境対応のカナメとなる新技術を発表しました。 その新技術の概要と、取り組みの可能性について話を聞いてきましたので、ここで紹介していきましょう。
■日産が将来の生産用エネルギーのカナメとして据えたのは「SOFC」
「SOFC」というのは日本語に直すと「固体酸化物形燃料電池」となります。つまり日産では、近い将来……具体的には25年後の2050年までに、工場を稼働するエネルギー源をすべて電気に切り替えようとしています。家庭でいう「オール電化」を工場全体で行おうとしているのです。
■燃料電池のおさらい
「SOFC」も、ザックリいってしまうと自動車のエネルギー源として使われている「燃料電池」と原理は同じものです。 「SOFC」の紹介の前に、「燃料電池」とはどういうものかをおさらいしておきましょう。 「燃料電池」というのはその名のとおり、燃料を使った化学反応で電気を発生させる電池のことです。電気を発生させるもっとも一般的な方法は、オルタネーターという磁石とコイルを組み合わせた発電装置を回転させておこなうものです。発電所ではそのダイナモをまわす動力を、石油やガス、または原子力などを使った熱エネルギーで、あるいは水力や風力などを使って作動させています。 電気自動車では発電所でつくられた電気をバッテリーに溜めて、その電気で動かしています。自動車からは温室効果ガスは発生しませんが、発電所からは少なからずガスを発生させているので、トータルで見るとゼロエミッションとはいえないという見方が多いと思います。 それに対して「燃料電池」というのは、(燃料電池の)マイナス電極に供給された水素ガスがまず水素イオン(H+)と電子(e-)に分離します。このとき電子(e-)は外部回路を通ってプラス電極へ電流として流れます。そしてプラス電極に供給された酸素が電子を受け取って酸素イオン(O2-)となります。この酸素イオンと、電解質層を伝ってプラス電極へ移動してきた水素イオン(H+)が結合して水(H2O)になり、排出されます。 はい、これでは電気が発生する仕組みがよくわかりませんね。重要なのは、水素から分離した電子がマイナス電極からプラス電極に流れるという部分です。この流れはつまり電気の流れ、要は電流が発生=電気エネルギーが発生しているというわけです。 発電に必要な物質のうち、酸素は大気中から調達されるので、用意する燃料は水素となります。自動車用燃料電池では生成された水素を専用のタンクに補充して用いられるのが現在の主流となっています。