箱根駅伝予選会トップ通過・全日本シード権獲得の立教大学、飛躍を支えるのは14人のマネージャーさん
1年生にも担当を割り振り、主体的に動ける組織に
髙林監督がマネージャーの皆さんに求めたのは、練習のサポートやお手伝いという意味合いだけではなく、いわゆる「マネジメント」でした。 最初に取り組んだのはマネージャーの業務改革。それを全部書き出した上で「これは必要だよね」「これはこれと一緒にやったらもっとスムーズだよね」と最適化していきました。 マネージャー陣は主務のほか、渉外、広報、会計と担当が分かれています。4年生だけでなく、3年生、2年生にもそれぞれ担当が割り振られます。1年生にも担当があり、これによって受け身ではなく主体的に動くことができます。 部署ごとの役割としては、渉外はエントリー関連、提出物の管理などを担当。広報はSNS運用やメディア担当。会計は部費や寄付金などの管理。これらの情報をSlackを使って部署内だけでなく、マネージャー陣全体にも共有しています。これにより部署以外の流れも把握することができるようになりました。また、練習やコンディションに関するデータは、可視化しやすいようにスプレッドシートに記入し、こちらも情報を共有。Googleドライブに保存して、翌年以降も見やすく、振り返りやすいように工夫しています。 どんなに優秀なマネージャーさんがいても、基本的に4年間で卒業してしまうのが大学スポーツの世界。これらは次の世代につなげていくために必要な作業です。選手の皆さんが駅伝で襷(たすき)をつなぐように、マネージャーさんたちも次世代につなぐため、駆け抜けた1年でもありました。 髙林監督は「(指導において)選手の意見は尊重しながらやっていますが、マネージャーには『ある程度こうなってほしい(ここまでの水準でやってほしい)』と伝えてあります」と期待を寄せています。マネージャーの皆さんも「選手のために、チームのために貢献したい」という共通認識のもと、試行錯誤しながら全力で取り組んできました。
マネージャーさんの提案で「トレーナー部門」新設
さらにマネージャーさんからの持ち込み企画も大歓迎ということで、実際に髙林監督へアイデアを提案することもあるそうです。髙林監督はどんなアイデアでも1度持ち帰り、検討して答えてくれるそうで、実際に採用されると大きなモチベーションになります。 例えば、将来はスポーツトレーナーになりたいという新沼朱莉さん(3年、高田)は渉外、広報、会計のほかに「トレーナー部門を作りたいです」と提案し、採用されました。選手の体のケアに関することでも、チームに貢献できる体制が敷かれています。それぞれの得意分野を生かして、できることを伸ばし、お互いに支え合っています。 「髙林監督から言われてから動くのではなく、『これやっておいて』と聞かれた時に『もう準備できています』と言える仕事ぶりをしたいです」と山田珠貴人さん(2年、名古屋)から声が上がるほど、皆さんの意識とモチベーションの高さに驚かされました。 練習の準備やタイム計測、給水、自転車伴走といったサポートだけでも体力勝負のマネージャー業務ですが、嫌な顔ひとつせず、目標達成のため担当する役割に向上心を持って取り組んでいます。自分も学生時代にマネージャーをしていた身としては、尊敬の気持ちしかありません。