まるで“ウユニ塩湖”! 瀬戸内海の絶景と食文化に出会う香川の旅へ【瀬戸内ジオ・ガストロノミー】
風土や歴史、食文化に注目しながら、おいしいものを目指して出かけようという「ガストロノミーツーリズム」。それに地球や大地という意味を持つ接頭語「ジオ(geo)」をプラスした「ジオ・ガストロノミーツーリズム」を提唱するのが、地質学のエキスパート・長谷川修一先生だ。 【画像】日本のウユニ塩湖! 干潮時に海面が鏡のようになり、まるで南米ボリビアのウユニ塩湖のような写真が撮れる。 食文化の背景をジオの知識で深掘りすると、「なぜこの地方で、この料理がおいしいのか」が見えてくる。まずは瀬戸内海の絶景と、おいしい食文化の関係を考えてみよう。
香川県・荘内半島の紫雲出山は瀬戸内ジオとガストロノミーの重要ポイント
瀬戸内海らしい風景のひとつが、穏やかな波間に浮かぶ島々の景色。この島が集中する海域を「瀬戸」、島がないエリアは「灘」と呼ばれ、瀬戸内海は瀬戸と灘が繰り返し現れる。そして、瀬戸では速い潮流に鍛えられた鯛のような魚がおいしく、潮流がゆるやかな灘はカタクチイワシなどの良質な漁場となる。ではなぜ瀬戸と灘が生まれたのか。そんな疑問がわいてくる。 紫雲出山から海を眺めながら、1400万年前にここにあった景色を想像してみよう。まだ瀬戸内海は存在せず、火山活動でできた山々がランダムに並んでいたはずだ。そこへ300万年前にはじまった断層運動が左右にずれて起こり、山が集中するエリアと平らなエリアができた。そして1万年前、東西から海水が流れ込みようやく内海になったという。この東西から流れ込んだ海水がぶつかるのが荘内半島の沖、これを潮目と言い多くの魚が集まる良い漁場になる。 「瀬戸内海は生まれてたったの1万年。まだまだ赤ん坊ですよね」と長谷川先生は笑う。ジオ・ガストロノミーツーリズムは、おいしいものを食べながら遥か昔の大地に思いを馳せる、壮大なタイムトラベル体験でもあるのだ。
瀬戸内海で育まれた鯛に舌鼓
定食&酒場 とうかいや 網元としてはじまり、現在は水産会社を営む。イリコ工場だった倉庫をご主人の趣味であるロックのスタジオに改装し、食事処をはじめた。地元民に愛されている店。
父母ヶ浜に“あの写真”を撮りに行こう!
父母ヶ浜といえば、この写真。 燧灘に面した仁尾町に位置する、南北1キロにわたって続く干潟が父母ヶ浜。潮がひくと現れる潮だまりを利用して写真を撮る。 実はこの父母ヶ浜、かつて工場誘致のために埋め立てる計画があったという。「こんなに美しい自然をなぜ壊す?」と立ち上がった地域の人たちの努力が実り、計画は中止になった。今でも地域住民が「ちちぶの会」を結成し、清掃活動や美しい写真を撮る観光客の手伝いをしに土日を中心に浜に出ている。 父母ヶ浜 ・絶景の見頃カレンダー2024