最速153キロの快刀乱麻 世代一目指す中京大中京・高橋 センバツ交流試合
2020年甲子園高校野球交流試合は第3日の12日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場であり、交流試合注目の投手、中京大中京の最速154キロ右腕・高橋宏斗(3年)が智弁学園(奈良)戦で先発し、九回にこの日最速の153キロをマークした。投球の約4分の1に当たる35球が150キロ以上と快速球を連発した。「小さい頃から夢に見ていた舞台。本調子ではなかったが、3失点に抑えられてすごく良かった」と汗を拭った。 【智弁学園VS中京大中京 熱戦の様子を写真特集で】 139球目、渾身(こんしん)の一球が外角低めに構えた捕手のミットに収まった。九回2死一塁、智弁学園の1番・三田を追い込んでからの3球目。投げ終わりに体が反転するほど力を込めた球は153キロ。見逃し三振を奪うと、高橋は右手を軽く握り、拍手の中をベンチに引き揚げた。 一回からエンジン全開だった。注目の第1投は148キロ。そこから徐々にエンジンをふかし始めた。智弁学園の2番・白石の3球目に152キロをマーク。直球の多くが150キロを前後した。ただ、10日の愛知独自大会決勝から中1日での登板が影響したのか、本来の制球力がなく、四回には3四死球と崩れ、9番・西村に適時打を浴びるなど3失点。それでも立て直し、延長十回無死一、二塁からのタイブレークも無得点に封じ、サヨナラ勝ちにつなげた。 「最速155キロ、常時148~150キロを出したい。世代ナンバーワンになるのが目標」。そう語っていたのが昨秋の神宮大会。当時の最速は148キロだった。目標を実現するために試行錯誤を続けてきた。 昨秋は一塁側に倒れるフォームを直すため、プロ野球・ソフトバンクの千賀滉大を参考に投球の始動直後に一度、三塁側を見てから軸足の右足一本で立つ投げ方を試みた。体の開きが改善すると、今度は三塁側を見るのをやめて投球のリズムをよくするため、オリックス・山岡泰輔を参考にした。「ずっと捕手を見つめることでコントロールのブレもなくなった」。新フォームを自分のものにすると、6月の練習試合で自己最速を更新する153キロを出し、10日の愛知独自大会決勝では154キロをマークした。 最初で最後となった甲子園のマウンド。高校野球で甲子園のスコアボードに球速が表示された2004年センバツ以降、07年夏の宮城・仙台育英の佐藤由規(楽天)と13年夏の愛媛・済美の安楽智大(同)が出した最速155キロには届かなかったが、10回を投げて11奪三振。149球の力投で鮮烈な印象を残した。【安田光高】 ◇全16試合をライブ中継 ニュースサイト「毎日新聞」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/)と「Yahoo!JAPAN」が運営する「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)で展開する「センバツLIVE!」では、センバツ交流試合の全16試合をライブ中継します。センバツLIVE!は、パソコンやスマートフォンで、いつでもどこでも無料でお楽しみいただけます。勝負の裏側に迫った最新のニュースや写真特集など、試合の情報が盛りだくさんです。センバツ交流試合にどうぞご注目ください。