車中生活が続く人も 長引く避難生活に精神的な焦り 能登半島地震から半年 将来への不安は尽きず
■「周りに迷惑をかけないため」に車中生活を続ける
厳しい生活を続けているのは、避難所にいる人だけではありません。輪島市内を取材していると、こんな人と出会いました。 半年間、車中泊を続けているという菊谷さん。自宅は1階がつぶれ、全壊状態に。今は、自宅近くの車庫で寝泊りしながら、新聞配達の仕事をしています。 【吉原キャスター】「助手席の椅子を倒しているんですか?」 【菊谷正巳さん(71)】「(助手席を)倒してここで寝られますから」(Qここで夜こうして寝てらっしゃる?)「ええ、そうですそうです」(Q半年間ずっとですか?地震が起きてから)「はい」 【吉原キャスター】「ずっと半年間、車中泊を、なぜしてらっしゃるんでしょうか?」 【菊谷正巳さん】「朝と昼と、反対ですから。(午前)1時半に起きないといかんでしょう。皆さん寝ているときに、私起きて、目覚ましかけて、皆さんに迷惑かけますし」 生活のリズムが人と違うため、避難所で暮らすことを「遠慮」してしまったという菊谷さん。仮設住宅に住めるよう申請はしたものの、まだ当選の連絡は来ません。 【菊谷正巳さん】(Q仮設住宅には住みたい?)「そりゃもちろん。そのためにこうしておるもんですから。夏は暑さと蚊が一番大変だなという気持ちでいます」
■伝統産業の職人「将来への不安は尽きない」
元の生活は、いつ戻ってくるのか。 輪島市の伝統的な産業、漆塗り職人の笠原さんは、4月に自宅に戻り、仕事を再開しました。 【笠原良征さん(79)】「職人から仕事とったらだめやわ。終わりや」 笠原さんの自宅では断水も解消され、生活は少しずつ、前に進んでいるようにみえます。それでも、将来への不安は尽きません。 【妻の美栄子さん】「(不安は)ありますね。なんかみんな、もう一回大きなのがばーんと来るんじゃないかと」 【吉原キャスター】「外を見ると、まだ崩れてる家とかも多いじゃないですか?」 【笠原良征さん】「あるある、ずーっとある」 【妻の美栄子さん】「(元に)戻るかなって感じ。まだ何年もかかるんだろうなって感じで」 【笠原良征さん】「仮設ばっかり見えたやろ。仮設の町みたいやもんね今。街の中は何もない、中心はなくて、まだまだ空き地に全部たっとるもん」 半年前には、そこにあった日常。全てが元通りになる兆しは、まだ、感じることはできません。
関西テレビ