八丈島で始まる、自動運転バスやAIデマンドタクシーなど持続可能な交通社会に向けた実証実験
次世代モビリティを活用して地方が抱える交通問題を解決
2024年7月、東京都総務局は八丈島で「AIデマンドタクシー」、「シェアリングモビリティ」、「自動運転バス」からなるモビリティサービスの実証実験を順次開始。交通難民を生まない持続可能なモビリティ社会の実現を検証する。 【写真】実証実験で使われるモビリティを詳しく見る 東京都心からおよそ真南へ約280km行った海上に浮かぶ伊豆諸島のひとつ「八丈島」は、羽田空港から飛行機で1時間弱の距離にあって「気軽に行けるリゾートアイランド」として知られている。 「八丈ブルー」といわれるほど青く透明度が高い海と長く美しい海岸線での海水浴、黒潮の恩恵により豊富な釣りスポット、ホエールウオッチなど島らしい海のアクティビティに人気が集まる。一方で、ふたつの火山が連なる地形ならではの天然温泉やアップダウンが多い1周約45kmのサイクリングなど、自然を活かした楽しみ方が多いのも特徴だ。 そんな八丈島ではいま、東京都による「未来の東京」戦略に基づいて、デジタル技術で社会課題を解決するモデル創出事業として次世代モビリティの実証実験がいくつも進行し、ドローンによる配送サービスは2022年度に、また電動バイク・トライクのシェアリングは2023年度に行われてきた。 そして2024年7月から新たにスタートするサービスが「AIデマンドタクシー」と「シェアリングモビリティ」、「自動運転バス」の3つだ。AIやスマートフォンなどを活用することにより、複数の移動サービスを組み合わせてシームレスな交通サービスを実現するというもの。 タクシーと乗り合いバスの長所を掛け合わせた「AIデマンドタクシー」はすでにサービスを開始しており、島内事業者により運行されるトヨタ ハイエースや日産 キャラバンといった乗用バンによる乗り合い輸送サービスとなる。乗車予約が重なった場合でもAIによってルートや配車計算を行って効率的な運用を目指すとしている。予約はWEBサイトだけでなく電話でも受け付けており、高齢者をはじめとするデジタル格差をつくらない配慮もなされている。 赤い電動アシスト自転車のシェアサービスで馴染みのドコモ・バイクシェアと島内事業者との協力で管理運営されるシェアリングモビリティ、そして八丈島空港と神湊 底土港(中心市街地経由)を結ぶ自動運転バスも2024年7月中旬からサービスを開始する。 いずれの事業も、島内の限られた人材資源を最大限効率的に運用し、交通難民を生まない持続可能なモビリティ社会の実現を検証するというもの。八丈島に限らずこうした取り組みを望む地域も多いはずで実証実験への期待は大きい。 ※2024年7月11日、19:00 記事の一部を修正しました。