「炎上」防止で不祥事会見にも同席 企業の危機管理巡り〝コンサル化〟する弁護士
1回目の会見は、喜多川氏の性加害の事実を認めた一方、事務所として再出発したい意向を強調したことで紛糾。2回目の会見では社名変更と被害者への補償終了後の廃業を表明するなどしたが、対応は後手に回った。
ただ、会見では記者からの質問で東山紀之社長が言葉に詰まった際や、会社を法的にどう処理するかを問われた際に弁護士が回答するなどし、一定の安定感を印象づけた。
こうした弁護士の会見同席について、危機管理問題に詳しい甲南大学の園田寿名誉教授は「経営陣が保身に走っていると思われるリスクもある」と指摘しつつ「負うべき責任を世間に正確に伝え、過剰になりがちな攻撃を緩和する意味では有効」と話す。
■高まるコンプラ意識
近年、企業の社会的責任や法令順守・コンプライアンスの意識が社会に浸透したことで、危機管理で求められる対策は複雑化している。
企業への法的なアドバイスだけでなく、広報文や会見での想定問答の作成、その企業が関係する経済事件が起きた場合には捜査当局や取引先への説明など、求められる仕事は多岐にわたる。
さらには、経営陣との関係構築も不可欠だ。不祥事では株主訴訟のリスクも大きくなるため、情報開示に消極的になる経営者も少ない。円滑な情報開示を行うためには、そうしたリスクも加味した助言が重要になる。
岩月弁護士は「企業がより社会的な存在になり、信頼されなければモノやサービスが『売れない時代』になった。法的問題を踏まえて対応を助言できる弁護士の役割は、今後も高まるだろう」としている。(久原昂也)