ヘッジファンドの専売特許だったCAT債、個人投資家にも広がる
アムンディは今年5月に発表したCAT債に関するリポートの中で「継続的な価格上昇と継続的な再保険需要の組み合わせは、24年の残り期間から25年にかけて魅力的な投資機会を提供する可能性がある」との見通しを示した。
約100億ドルの資産を持つ世界最大のCAT債投資家であるフェルマー・キャピタルは2月に独自のUCITS・CAT債ファンドを開始。ブルームバーグがまとめたデータによると、すでに5億4000万ドルを運用しいる。キャット債市場を追跡調査しているアルテミスによると、その大部分はフェルマーが他の資産運用会社のために運営している別のUCITSファンドから移管されたものだという。フェルマーはコメントを控えた。
資産運用会社は、個人投資家に直接CAT債ファンドを販売しているわけではないが、UCITSにCAT債が含まれていることで、より多くの投資家がこの資産クラスに参加できるようになると説明している。
チューリヒに本社を置くプレナム・インベストメンツの保険リンク証券担当シニアファンドマネジャー、ディルク・シュメルツァー氏は高リターンが銀行、ファミリーオフィス、年金基金の間で「さらなる関心を呼んでいる」と言う。
「当社はリテール向けに積極的なマーケティングは行っていない」が、銀行は一任勘定にCAT債を保有しているため、「個人投資家は最終的にCAT債へのエクスポージャーを持つことになる」と説明した。プレナムは2本のUCITS・CAT債ファンドを運用している。
これは規制当局が注視している展開だ。欧州証券市場監督機構(ESMA)は先月、UCITSでCAT債やその他のリスクのある証券を利用できるようにすることの影響に関する情報提供請求を開始した。
ブルームバーグが取材した資産運用会社によると、ESMAはUCITSでCAT債がどの程度普及しているか概要を把握しようとしている。
シュローダー・グループのプライベート市場部門であるシュローダー・キャピタルの保険リンク証券部門共同責任者、ダニエル・イナイチェン氏によると、CAT債は「プロの投資家が支配する市場だ」が、多くの投資家はUCITSラベルの付いた規制ファンドを好むという。