輪島で読書日常へ一歩 仮設図書館拡大オープン 商業施設活用 豪雨から3カ月
●4万5000冊「待ちに待った」 奥能登豪雨から3カ月の21日、能登半島地震と豪雨で「二重被災」に見舞われた輪島市で、商業施設の空きテナントを活用した仮設の市立図書館がオープンした。これまでの仮設の場所より広く、約4万5千冊が並んだ。元日の地震で市内の書店の多くが被災し、書籍の購入が不自由な中、午前10時のオープンと同時に次々と利用者が訪れ「待ちに待った」と本を手に取り、笑顔を広げた。 【写真】仮設の市立図書館が入る輪島市の商業施設 仮設図書館は輪島市宅田町の商業施設「パワーシティ輪島ワイプラザ」の空きテナントを使う。地震前は約6万冊を置き、図書数は減ったが、通路のスペースを広めに確保した。 図書館は元々、市文化会館に併設されており、元日の地震で休館。5月に道の駅「輪島ふらっと訪夢(ほうむ)」で仮オープンしたが、約千冊しか並べられなかった。 母親と訪れた大屋小5年の山崎杏季(あき)さん(11)は「生き物や外国の本が好きなので、毎週来たい。広くて、たくさん本を借りられてうれしい」と話した。光浦町の本清作(もとせいさく)さん(74)は「冬は自宅にこもりがちになるが、図書館は外出するきっかけになる。いろいろな本があって、いい気分転換になる」と喜んだ。 小説を手にした鳳至町の尊谷(そんたに)篤子さん(63)はこれまで、全壊した自宅から本を取り出しては、繰り返し読んでいたといい、「新しい本との出会いはやっぱりうれしい。輪島ではなかなか本が入手できず、七尾や穴水まで足を運ぶしかなかった」と振り返った。 机や椅子を備えた学習スペースを設け、年内は1人につき10冊まで貸し出しする。地震や豪雨で貸し出しカードをなくした人たち向けに新規・再発行コーナーを用意した。金沢美大から書架114台が寄贈され、司書を志す金沢学院大の学生らボランティアが書籍の整理を手伝った。