祭壇に献花する遺族会会員＝17日、鹿児島県徳之島町亀徳

　太平洋戦争中の1944年6月29日、徳之島沖で米軍潜水艦の魚雷攻撃で撃沈された輸送船「富山丸」の犠牲者を悼む「富山丸戦没者慰霊祭」が17日、鹿児島県徳之島町亀徳の「なごみの岬公園」であった。来島した遺族72人を含め計約140人が参列。祭壇に献花、黙とうをささげ、80年前に戦禍の犠牲となった3724人の冥福を祈った。

80年前に米軍潜水艦に撃沈された富山丸（富山丸遺族会全国連合会「輸送船富山丸の戦没記録と遺族のあゆみ」から転載）

　遺族会主催で64年に始まった慰霊祭は、遺族の高齢化を理由に、半世紀の節目で遺族会全国連合会が解散。2014年からは徳之島町主催で毎年開催している。61回目となった今年の慰霊祭には関東、四国、九州の9遺族会から参加があった。 　慰霊祭会場には各遺族会から届いた花が並べられ、参加者全員が祭壇に献花、黙とうをささげて犠牲者の冥福と恒久平和を祈った。遺族会参拝団代表の桑島正道さん（87）＝香川県＝は「慰霊祭は私たち遺族にとって代え難い大切な機会。毎年参加できるのは徳之島町の皆さんのおかげ」と感謝し、「100歳まで元気に生きて慰霊祭に参加したい」と継続への意欲を述べた。 　参拝団には犠牲者のひ孫世代の姿も。祖父、母親とともに参列した宮田有里さん（11）＝神戸市＝は曽祖父の村上猛さんが眠る海へ手を合わせ、「家族と遠く離れて亡くなったひいおじいちゃんを思うととても悲しい。戦争の怖さと平和の尊さを決して忘れないようにしたい」と祈りを込めた。 　18日には80年前に多数の負傷兵が運ばれ、住民らが治療に当たった瀬戸内町古仁屋で慰霊祭が開かれる。