「察する力」を身につける2つの方法
EQはトレーニングできる
EQは先天的なものか? それとも、後天的なものか? この問題については、一部で議論が繰り広げられています。 人は、高いレベルのEQを発達させる能力を持って生まれてくるのでしょうか? それともその能力は、教えられて身につけるものなのでしょうか? たぶん、どちらも部分的には正しいと言えるでしょう。たしかなのは、EQは誰でもトレーニングできるということです。 私たちの多くは、歳を重ねるにしたがって、次第にEQを高めていきます。多くの場合、人の話に耳を傾けて共感し、じっくり考えるというプロセスが、そうしていなければ困惑していたであろう状況の理解につながります。 話を聞き、共感し、じっくり考えることによって、EQをトレーニングする。そのプロセスは、私たちの多くが、時間の経過とともに、専門家の力を借りたり試行錯誤を繰り返したりしながら身につけていく術なのです。
1人でできるEQのトレーニング法
Krauss氏が前述の記事で述べているように、近年は新たな研究が発表され、人との信頼関係の維持に役に立つかもしれないヒントが提案されています。 ご想像のとおり、EQはとても扱いにくい研究対象です。数値化して検証するのが非常に難しい、つかの間の特性だからです。 ですが、最近行なわれたある研究では、過去のさまざまな研究の有効性と手法が評価され、効果を裏づけるエビデンスがもっとも多い研究が特定されました。 その中の2つを、「1人でできるEQのトレーニング法」としてご紹介しましょう。 方法1:音声を消して映像を見ながら、役者の感情を推測する Krauss氏によると、このトレーニングを行なえば、自分自身のためになる、有益な情報を引き出せるようになるそうです。以下で説明しましょう。 役者の顔のアップが含まれている映画やテレビ番組を録画、またはストリーミングします(ただし、アクション映画は除きます)。 音声をオフにして映像を再生し、役者たちの感情を推測します。その後、音声をオンにして、そのシーンを見直します。 そして、あなたが推測した感情と、役者たちのセリフが物語る感情を比べます。 映像を見ながら役者の感情を推測する時には、あとで答え合わせをしやすいように、あなたが最初に受けた印象をメモしておくようにしましょう。 方法2:ソーシャルメディアの写真を見ながら、被写体の感情を推測する Krauss氏が勧める2つ目の方法は、あなたがSNSでフォローしている人の写真を、キャプションに目を向けないで見るという方法です。 こちらのトレーニングのほうが、あなた個人の状況にあてはめやすいと同時に、いくらか簡単でもあります。 写真だけを見ながら、表情を頼りに、その人の感情を推測します。その後、あなたの推測と写真のキャプションを比べます。時には、その2つのあいだにずれが生じることもあります。 「遊園地で乗り物に乗りながら怯えたような表情をしている人が、『最高に楽しかった!』とコメントしていることだって、きっとあるはずです」と、Krauss氏は語っています。 これと同じようなギャップに遭遇した場合、1つには、あなたがその人の表情から受けた第一印象が間違っていたということが考えられます。 もう1つの可能性として、その人が気まずくて、自分の感情を率直に表現できなかった状況を示しているとも考えられます。 たとえば、あなたの友だちが、恥ずかしさのあまり、自分は高所恐怖症だと言えないとしましょう。あなたはそれに気づかず、「いっしょにジェットコースターに乗ろう」としつこく誘ってしまいます。 このような状況では、少しばかりのEQが、友情を保つ上でおおいに役立ってくれそうですね。 ──2021年9月23日の記事を再編集のうえ、再掲しています。 翻訳: ガリレオ Source: Psychology Today(1, 2), verywellmind, APA PsycNet
ライフハッカー・ジャパン編集部