トヨタのスーパーGT連覇のカギは「アレジの息子」 泣かず飛ばずのどん底を乗り越えてついに才能が開花!
【コースオフ寸前の攻めた走りで初のPP獲得】 その言葉どおり、自分を信じ、耐え続けていたら、アレジに転機が訪れた。 親交のあるGT300ドライバー片岡龍也が携わるROOKIE Racingからスーパー耐久シリーズに参戦することになると、開幕戦からいきなり見違えるような快走を見せたのか。 特に圧巻だったのは、スーパーGT第3戦の前週に行なわれた富士24時間レース。夜中で雨が降っているのにスリックタイヤで走らなければいけない時間帯をアレジが担当すると、難しいコンディションのなか、見事にマシンを乗りこなして総合優勝を飾った。 この経験が、大きな自信になったことは間違いない。37号車を率いるミハエル・クルム監督は、富士24時間レースでのアレジの走りを賞賛した。 「夜中に雨が降ってきたけどスリックタイヤで走らないといけないし、スピードの異なるほかのクラスの車両も追い抜きながら走らなければいけない。そういうところで結果を残せたのは、ドライバーとして自信になります。今年のジュリアーノは開幕戦からいいパフォーマンスを出していたので、ずっと期待していました」 自信を持って臨んだスーパーGT第3戦(6月1日・2日/鈴鹿サーキット)。まず予選Q2でコースオフ寸前の攻めた走りで初のポールポジションを獲得すると、決勝ではトップを死守した笹原からバトンを受け取って着実な走りを披露。先行するENEOS X PRIME GR Supra(ナンバー14・大嶋和也/福住仁嶺)がペナルティで後退したことにより再びトップに立つと、アレジは最後までミスのない走りで後続を寄せつけず、悲願のスーパーGT初優勝を飾った。 「本当に、チームに『ありがとう!』と言いたいです!」 マシンを降りたアレジは、ずっと出せなかった喜びの感情を一気に爆発させた。そして表彰台の中央でトロフィーを掲げながら、いつしか消えていた満面の笑みを見せてくれた。