Appleの新ガジェットVision Proが続々と返品…。「ユーザーに選ばれなかった」5つの理由とは?
現地時間2月2日にアメリカで発売された「Apple Vision Pro」。 この製品がAppleの狙いどおり、現状を一変する「ゲームチェンジャー」と呼べる複合現実(MR)になるのかどうか、判断するにはまだ早い段階でしょう。 とはいえ、最近のメディアの報道を見ると、前途洋洋とは言えない様子。実は、せっかくVision Proを手に入れたのに、端末を返品するユーザーが相次いでいるというのです。 これは、エクステンデッド・リアリティ(XR:現実世界と仮想世界を融合する技術)に多大なリソースを注ぎ込むAppleの戦略が正しかったのか、不安を感じさせるニュースでしょう。 今回の「購入ユーザーによる返品の急増」がVision Proにとって決定的な痛手となるかは確証を持っていませんが、Appleの最新ガジェットを購入したユーザーが「返品したい」と思うほど後悔していることには、いくつかのはっきりした理由があります。 Vision Proの課題は、大きく分けて5つ。以下で詳しく解説していきます。
1. 重さや装着感に難がある
「複合現実の世界で、できるだけ多くの時間を過ごしたい」と考えるのであれば、使用するヘッドセットは、何時間でもずっと快適につけていられるものがよいはずです。 残念ながらこの快適性が、Vision Pro最大の難点の1つ。 まず、このデバイスは非常に重く、600~650gあります。これだけ重量があるものを顔に装着するのです。 また、標準装備のソロニットバンドは見た目こそクールですが、このデバイスの荷重を分散させる役割としては心もとないものがあります。 Marques Brownlee氏が動画レビューで指摘しているように、後頭部だけでなく頭上でも支える形状の「デュアルループバンド」のほうが、装着時の快適性ははるかに良いです。ただし、Vision Proが持つ見た目のクールさは損なわれますが。 幸いなことに、デュアルループバンドも同梱されていますので、長時間使うときは、こちらに付け替え可能です。 Vision Proを買ったものの、装着感が悪くて1時間つけるのも厳しいという場合は、返品を決断する前にデュアルループバンドを試すことをおすすめします。 とはいえ、広告宣伝で大々的にフィーチャーされているバンドが「長時間の使用には不適」と言われても仕方ないクオリティなのは、残念な話です。 「映像酔い」の課題 仮想空間で起きがちな、いわゆる「映像酔い」の問題は、Vision Proにもあります。Vision Proを10分から15分使っただけで気持ち悪くなってしまう人もいるほど。 ただし、公平を期すために言えば、Vision Proというデバイス自体に特別に酔いを引き起こしやすい要素があるわけではないようです。 なぜなら、「映像酔い」はヘッドセット全般につきもので、長く未解決の問題だから。仮想現実(VR)を見ていると気持ち悪くなりやすい人なら、Vision Proでも酔ってしまうことはあるでしょう。 なお、Vision Proを装着したせいで内出血することはまずありません。 The Vergeのプロダクトマネージャーを務めるParker Ortolani氏は「Vision Proを装着したせいで内出血によるあざができた」と訴えていますが、筆者がネット界隈を見た限りでは、そう報告しているのはOrtolani氏だけ。 それでも、万が一ということがあるので、Vision Proを装着するときは、あまりきつく顔に押し当てないよう気をつけましょう。