「むずむず脚症候群」の治し方・治療を医師が解説 セルフチェックや病院での検査方法も
むずむず脚症候群の原因は何? 発症しやすいのはどういう人? 鉄が大事って本当?
編集部: なぜ、そのようなことが起きるのですか? 栁原先生: むずむず脚症候群の原因は、すべてがわかっているわけではありません。そのため原因がわかる方とわからない方がいます。ただし、原因がわからない場合にも症状を抑える治療は可能ですので、その点は安心してください。 編集部: どんな原因があるのですか? 栁原先生: 別の疾患や薬剤などによる続発性のものと、疾患そのものを生じる元となる原因のあるもの(原発性)との2種類にわけられます。 続発性の原因としては、鉄欠乏や妊娠、パーキンソン病、慢性腎不全(人工透析)、関節リウマチ、糖尿病などが挙げられます。カフェインやアルコール、抗うつ薬の一部や抗精神病薬、ドーパミン遮断作用をもつ治療薬などが原因となる場合もあります。 編集部: 疾患の元となる原因とは? 栁原先生: 原発性の原因としては、「神経伝達物質であるドーパミンが脳内で不足している」とする仮説があります。一般的に脳内のドーパミン濃度は日中よりも夜間で低下します。 むずむず脚症候群の症状が主に夜間に増悪することと、この夜間のドーパミン濃度の低下が関連している可能性があります。また、ドーパミンを作る際の材料の一つが鉄ですので、鉄不足が続発性のむずむず脚症候群の原因となることとも、この仮説は関連しています。 編集部: どうしてドーパミンが不足すると症状を生じるのでしょうか? 栁原先生: もう少しイメージしやすく説明するとしたら、脳と身体を連絡している神経のつながりのなかで、連絡係をしているドーパミンという神経伝達物質が不足したために、連絡ミスを生じてしまい、本当はないはずの症状を脳が感じてしまうという「バグ」を起こした状態といえるのではないでしょうか。 編集部: どのような年代の人に発症しやすいのですか? 栁原先生: 小児から高齢者まで幅広い年代で発症します。 若年の場合には鉄欠乏によるケースが比較的多く見受けられます。欧米では加齢とともに罹患率が上昇すること、男性よりも女性が発症しやすいことが報告されていますが、アジアでは欧米よりも罹患率が低く、また明確な男女差がないと言われています。 ほかにも妊娠中の女性やむずむず脚症候群の家族歴がある方は発症しやすいことが知られています。