中国、元政府職員の夫婦を英国のスパイとして摘発-英中の緊張高まる
(ブルームバーグ): 中国国家安全省は3日、中央政府で働いていた2人を英秘密情報局(MI6)のスパイとして摘発したと発表した。ロンドン警視庁は先月、香港の情報機関のために働いていたとし3人を起訴しており、スパイ疑惑を巡り英中間で緊張が高まっている。
同省は声明で、政府機関に勤務していた2人は夫婦で、金銭目的で英国に情報を提供したため、「断固たる措置」を講じたと説明した。夫の姓は「王」とされているが、夫妻のフルネームは明らかにされていない。国家安全省は中国のスパイ機関と見なされている。
同省によれば、MI6が2015年、英国に留学していた男に接触し、男は中国の政府機関に関する「核心的な内部情報」に関わるコンサルティングを提供することに同意。MI6はその後、この男を訓練し、情報収集のために中国に帰国させたという。最終的にこの男の妻もMI6に採用されたとしている。
中国の工作員による英議会への干渉疑惑などから英中関係は悪化。ロンドン警視庁は今年5月、3人を起訴。テロ関連捜査の結果、香港の対外情報機関を手助けしていたことが判明したと明らかにした。中国はこれに対し、香港政府を標的にした「事件のでっち上げであり、不当な非難」だと主張していた。
その後、起訴された3人のうちの1人で保釈中のマシュー・トリケット被告(37)がロンドン西方にある町の公園で遺体で見つかった。英警察は、同被告が原因不明の理由で死亡し、捜査中だと発表した。
中国は1月には英政府のためにスパイ活動を行っていたとして外国コンサルティング会社の中国代表を拘束。国家安全省によると、MI6がこの代表を「第三国」から雇い、スパイ活動に従事させていたいう。
中国共産党の習近平総書記(国家主席)は国家安全を一段と重視するようになっており、中国では国家安全省の存在感がこれまで以上に高まっている。
関連記事:
原題:China Says Couple Working in Central Government Spied for UK (1)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Bloomberg News