「7年は長かった…」今大会、苦戦の連続だった中京大中京、東邦との名門校対決を制して、甲子園へ!【24年夏・愛知大会】
<第106回全国高校野球選手権愛知大会:中京大中京7-3東邦>◇28日◇決勝◇岡崎レッドダイヤモンドスタジアム 6月29日から始まった、全国最多の173チーム(181校)の参加校を誇る愛知大会も、最終日となった。 波乱含みの大会とも言われたが、決勝の顔触れは、中京大中京と東邦という、ともに戦前からの強豪校で全国制覇の実績もある、愛知県を代表する名門校同士の対決ということになった。 このカードになれば、やはり愛知県の高校野球ファンにとってもじっとしていられない。試合開始は14時だというのに、暑い中、早くから多くの高校野球ファンが会場に詰めかけた 【トーナメント表】愛知大会 決勝までの結果一覧 どちらも、ここまで決して楽に勝ってこられたわけではない。東邦はベスト8までのブロックは比較的恵まれた。シード校として、そこをスムーズに勝ち上がってきて、準々決勝でも好投手を擁する大成に7回コールド勝ち。しかし、準決勝では杜若に大苦戦で0対0のままタイブレークとなり、10回に何とか振り切って磨決勝進出である。 中京大中京は、春季東海地区大会優勝校でもあるが、シード校として挑んだ今大会は初戦の3回戦で尾張地区の強豪の誉に中盤追いつかれて、苦しみながらも振り切った。さらには、5回戦では名古屋たちばなに終始リードを奪われた。ようやく逆転しても、9回は一打逆転サヨナラという場面まで追い込まれながら、そこを凌いで何とか勝ち上がった。 高橋源一郎監督は、「ウチは、ここで一回死んでいますから、ここからは開き直って戦うことができるようになった」と語るほどの瀬戸際だった。 その苦戦で吹っ切れたのか、準決勝では日本福祉大附にコールド勝ちして決勝に進出してきた。 この両校の、夏の選手権決勝での対決は2002年(第84回大会)以来ということになった。ちょっと意外な気もするが、それだけ愛知県の高校野球も勢力構図が広がってきたということでもあろうか。
決勝戦独特の緊張感と、名門校同士の対戦ならではの重い空気と熱い応援合戦がスタンドを包んでいる中、中京大中京の先発エース中井遙次郎投手(3年)もやや硬かった。その初球を東邦の先頭打者大島善也選手(3年)が叩いて、いきなり試合は動き始める。東邦は、朝倉大空選手(3年)が三塁まで進んでいた大島選手を帰して先制した。 しかしその裏、中京大中京も、四死球で二死一二塁となったところで、この日、5番に起用された仲健太郎内野手(3年)が、左中間をライナーで破る二塁打で二人を帰して逆転。 東邦も2回、手島慈元選手(3年)の二塁打から同点に追いつく。2対2のまま、その後は中京大中京の中井投手と東邦の宇佐美敦斗投手(3年)の両左腕投手の投げ合いという形になった。中井投手は3回から配球の組み立ても少し変えていって3~5回は3人ずつで抑えていっていた。 これで中京大中京は攻撃へのリズムができて5回、3番山田頼旺選手(3年)の二塁打から、一死二三塁として、仲選手が中犠飛を放って均衡を破った。 6回にも中京大中京は東邦の2人目、杉浦成海投手(3年)から神谷倖士郎選手(3年)のタイムリー打で、貴重な1点を追加する。 もう1点もやりたくないという東邦の山田祐輔監督は7回から、主将でもある高柳大治捕手(3年)をマウンドへ送るという、ここまで取っておいた秘策に出た。高柳投手は7回を3者凡退としてリズムを作り、8回には東邦が三盗など足を使って攻めて、暴投で三塁走者を帰して1点差とする。 まだ、どう転ぶかわからないぞという展開になったがその裏、中京大中京は神谷選手、岡部純陽選手(2年)の連続二塁打などで決定的ともいえる3点を加えた。そして、8回に1点差となった後の二死一二塁からリリーフしていた田中太久哉投手(2年)が9回も3人で切り抜けて中京大中京は、7年ぶり29回目の優勝を果たした。 試合後の高橋監督は、「7年間は長かった…」と、しみじみと振り返っていた。「東邦が中井対策を取ってくること、足を使った攻撃を仕掛けてくることもある程度は想定していたのですけれども、序盤はそこに慌てさせられたところもありました。朝、いい顔をしていたので起用することを決めた仲が、ここというところで打ってくれました。去年、ここ(決勝戦)で敗れて、悔しい思いをして、1年間やってきました。それをバネに中井もよく投げてくれた。田中も、自分を信じて厳しい場面を投げ切ってくれた」と継投のタイミングが難しい中で、いい形で投手を繋げられたことも勝因に挙げていた。そして、「愛知代表として、甲子園で悔いなく戦ってきます」と、締めていた。