「おかえり、SL人吉」102歳の蒸気機関車・58654号機がJR人吉駅隣りで展示開始 観光だけでなく被災し運休が続く肥薩線と地元住民つなぐ大事な存在に
JR九州の観光列車として活躍した『SL人吉』の蒸気機関車が地元で展示されることになり、11月17日にお披露目式があった。翌日の18日は機関車の102歳の誕生日で、この記念日にあわせて一般公開が始まった。 【画像】SL人吉を一目見ようと約300人が集まる
SLあそBOYやSL人吉として活躍
JR人吉駅隣りのスペースでお披露目されたのは蒸気機関車・58654号機。 1922年(大正11)製造の58654号機は、『ハチロク』の愛称で親しまれ、JR九州の観光列車『SLあそBOY』や『SL人吉』として、延べ90万人以上を乗せて走ってきた。 しかし、車体の老朽化や技術者不足などから、2024年3月に引退。人吉市に無償で譲渡され、102歳の誕生日の前日の11月17日に、展示に向けたお披露目式が開かれた。
「あとは肥薩線が復活すれば完璧」
式では人吉市の松岡隼人市長が「これからも地域のシンボルとして輝き続け、歴史を刻むことが、肥薩線復旧の大きな一歩になる」と挨拶。58654号機について「今後も、親しみを込めて『SL人吉』と呼んでいく」と発表し、観光のシンボルとして期待を寄せた。 関係者を集めたお披露目式だったが、SL人吉の様子を一目見ようと会場の外も合わせて約300人が参加し、久しぶりの『再会』を祝った。 訪れた鉄道ファンは「ハチロクの(新しい)旅が始まったと思う。この人吉の地から蒸気機関車と肥薩線の魅力を伝える」と話し、小学生の鉄道ファンは「(SL人吉を)いい感じに撮れた。あとは肥薩線が復活すれば完璧。SL人吉も10年後に復活してくれればもっといい」と話す。
肥薩線と地元住民つなぐ大事な存在に
『SL人吉』が走っていたJR肥薩線は、2020年7月の豪雨で甚大な被害を受け、いまなお一部区間が運休。このうち、八代-人吉の区間、いわゆる『川線』は、熊本県とJR九州が鉄道での復旧に向け、2024年度中の最終合意を目指している。 しかし、復旧目標は熊本県が示す案で2033年度とまだまだ先だ。今回展示された『SL人吉』は、肥薩線が再開するまでの間、「鉄道と地元住民をつなぐ大事な存在」でもある。 11月18日の58654号機の102歳の誕生日に、その様子を見に来た人吉市民は「私も飾ってほしいと思っていたので、よかったと思う」と、人吉に『SL人吉』が戻ってきたことを喜んだ。 人吉市は今後、格納庫を整備し、圧縮空気を動力とした『SL人吉』の動態保存を検討。維持管理に向けて、『車体磨き』などの体験イベントも開く予定だ。 (テレビ熊本)
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