鹿島の監督交代に「またか」が本音。でも中田浩二は強化責任者として逸材だと思っていた【OB名良橋晃の見解】
改善に向かうためのキーポイントは「我慢」
鹿島がこれから改善に向かっていくためのキーポイントは「我慢」だと思います。現代サッカーでは相手の長所を消す戦術も基本となっているなかで、結果が伴わなくなるとすぐ監督交代を繰り返すようでは、指揮官が掲げる理想のサッカーも構築されにくい。戦術浸透が難しくなれば選手間の共通理解も希薄になるので、そうなると当然、優勝も厳しくなるでしょう。 たとえば、アンジェ・ポステコグルー監督(現トッテナム)が横浜F・マリノスをJ1優勝に導いた2019年も就任2年目で、1年目はリーグ12位と結果が出ていません。今、J1で首位のサンフレッチェ広島でも、ミヒャエル・スキッベ監督は就任3年目です。 現代サッカーではある程度、監督の戦術を浸透させるために我慢の期間は必要で、指揮官が理想とするサッカーが構築されてきたら、相手の対策を上回る次の手段も作っていく。そうして、ようやく花開いたチームがタイトルを獲得できるのではないでしょうか。 なので、中後新監督、本山&羽田新コーチが就いて再出発となりますが、これからは我慢の時間を与えてほしいと、僕は願っています。 強いアントラーズを取り戻すためには、あとはアカデミーの充実も必要だと思います。活躍した選手がすぐに海外移籍してしまう今のJリーグでは、良い素材を育て、どんどんトップチームに上げていくのも大切です。 もちろん、才能ある若手を発掘するスカウトも重要ですし、好タレントが「鹿島でプレーしたい!」と思ってもらえるクラブにもならなければなりません。 若手に憧れてもらうクラブになるためにも、ファン・サポーターのためにも、やっぱり勝利は必要です。2018年のACL優勝、国内では2016年のJ1&天皇杯制覇を最後にタイトルから遠ざかっていることを考えれば、最近はチャンピオンとしての喜びを味わっているサポーターが少なく、勝つゲームをもっとたくさん見たいと思っているはずです。 でも、忘れてはならないのは、勝利というのはチームを強化した先にあるもので、そこの順番を疎かにしてしまうと、今の良くない流れをズルズルと引きずってしまうリスクがあります。 言いたいことはたくさんあると思いますけど、クラブだけではなく、ファン・サポーターも、みんなで我慢することが大切です。勝利をもたらしてくれる選手ファーストの心持ちで、またみんなが笑顔になれる日が来ることを願っています。僕も、自分にできることがあるなら、大事にしているクラブなので、最大限サポートしていくつもりです。 構成●志水麗鑑(フリーライター)