【ヴィクトリアマイル・生情報】決戦2日前に攻めの調整!〝波乱の主役〟を務める激走リピーター
ヴィクトリアマイル2024
[GⅠヴィクトリアマイル=2022年5月15日(日曜)4歳上、東京競馬場・芝1600メートル] 2000年代初頭まではレース前日に本追い切り並の調教時計をマークする、いわゆる〝前日追い〟も珍しくなかった。池江泰郎厩舎はその代表格。例えばゴールドアリュールは03年・GⅢアンタレスSの前日となる4月26日(土曜)に栗東坂路で4ハロン55・5ー12・5秒を計時。ディープインパクトも06年・天皇賞(春)前日の4月29日に栗東Dウッド6ハロン86・9ー12・8秒をマーク。ギリギリまでしっかりと負荷を掛けられながら、両馬とも実戦ではきっちり勝利を手にした。 しかし、近年は本追い切りを含めてもソフト調整が主流に。まして牡馬に比べてメンタルが繊細な牝馬となると、さらに〝軽め調整〟がメインとなっている。 ヴィクトリアマイルに出走する関東馬を見ても、小島厩舎2頭(キタウイング・フィールシンパシー)は当日輸送を避けて、土曜早朝に美浦トレセンから東京競馬場への輸送を選択。前日に坂路コース入りした組にしてもルージュリナージュ(宗像)=4ハロン66・4ー15・7秒、フィアスプライド(国枝)=4ハロン67・9ー15・7秒と〝軽め1本〟のメニューに終始した。
決戦2日前に攻めたライラック
ライラック(相沢)に至ってはコース入りせずに、坂路入り口脇の角馬場で乗り運動のみ。〝攻めの姿勢〟はまったく感じられないが…。注目すべきは〝前々日〟のメニューだ。10日(金曜)は石川が騎乗し、まず坂路で4ハロン65・7ー16・0秒のキャンターを消化。普通ならばこれで終了となるのだが…。南ウッドコースに場所を移すと僚馬モカフラワー(5歳3勝クラス)を追走する形で4ハロン標識手前から加速。直線では同馬の内に潜る形で併せ馬となり59・5ー42・9ー13・6秒としっかりとした時計を叩き出したのだ。 「前走を1としたら、今回は5。いや、6くらいかな」と担当の三尾助手はいつものように辛口だが「中間は(石川)裕紀人にも乗ってもらうようになって気配は良くなっているよ。数字通りに前走で減っていた馬体も戻っているから」とその表情は明るい。 9日(木曜)に発表された調教後の馬体重は10着に敗れた前走・GⅡ阪神牝馬Sの432キロ(前走比マイナス16キロ)からプラス18キロの450キロ。「阪神までの輸送で減らしたというより、前回は放牧から美浦に帰ってきた時からイライラしていたんだ。一方、今回はそんなことなく気分が良さそうだし、しっかりカイバを食べているからね」と管理する相沢調教師は平常心に戻ったメンタルに胸を撫でおろしている。 今回は地元の府中決戦とあり馬体減の懸念がないからこそ金曜に〝攻めの調整〟を選択。そして土曜をリカバリーに充てるという入念な調整過程をクリア。20年・GⅢフェアリーS=5番人気1着、22年・GⅠエリザベス女王杯=12番人気2着、23年・GⅡ府中牝馬S10番人気3着と激走を繰り返した実力馬が、今回も波乱の主役を演じてもまったく不思議はない。
東スポ競馬編集部