障がい者との交流を通して「ファッション」の新しいカタチを知る「ファッション・フォームズ」
川島映利奈×新居洋子「エタブルオブメニーオーダーズ」デザイナー
熱海を拠点とし「食べられるような素材選び」をコンセプトにした「エタブルオブメニーオーダーズ(Eatable of Many Orders)」の新居洋子デザイナーは、重度障がいを患っていても自立して生活を送れるようサポートする、「つくば自立生活センターほにゃら」の代表である川島映利奈さんが着てみたいワンピースを製作した。既成のワンピースだと車椅子に座った際に丈が上がってしまうため長さを調整する必要があった。そして日常的に解除を必要とするため専属のヘルパーが着させやすくて年齢にあった大人の気品あるものを希望していた。川島さんの好みを伺いつつも肌触りの良い天然の染物を採用し人前でお話しするイベントでも堂々と着られるワンピースが完成し、サポート団体の代表としての身なりを整えることができた。
板垣春希×山口壮大
「ファッション・フォームズ」のプロデューサーでありファッションディレクターの山口壮大氏は、普段から車椅子に乗り、親元を離れ大学の寮で生活を始めた板垣春希さんがファッションに対して奥手になっていることをキャッチし一緒に古着屋に出向き彼に似合うスタイリングを提案した。特別支援学校では服装に気にかけることがなかったため、大学生活が始まるとこれまでにない華やかさに動揺を隠しきれない様子だった。そんな春希さんのファッションへの恐れをほぐしつつも実際に試着してもらいながらスタイリングを考案。発起人の五十嵐さんを含む7名の女性に春希さんの新しいスタイルに対する客観的な印象を答えてもらうことでファッションで自分を表現することを育み、自己肯定感を後押しした。最終的に春希さんはその後、自ら購入する際にウイメンズのパンツを買うこともあるほど、「上級者テク」を使いこなすようになった。
池延一瑳×吉井秀雄「ハイドサイン」代表兼デザイナー
作業服から飲食店の制服など企業向けのユニフォームをデザインしている「ハイドサイン(HIDESIGN)」吉井秀雄・代表兼デザイナーはパタンナー笹田英和氏、縫製チームリーダー小出涼子氏とともに、池延一瑳さんの母・光代さんの希望である寝たっきりの息子に成人式でも着られるハレ着・スーツを製作した。「誰1人として着れない人を作らない」を企業理念としているハイドサイン。気管切開チューブを邪魔しないようにシャツは襟とボディをセパレート、ジャケットは前見頃だけにして左右をセパレートし首元に施したマジックテープでドッキングできるような設計を考案。寝たっきりで肩の可動域が狭くても一生で一度の「ハレの日」に着れるスーツが完成したことでご本人のみならずご家族の顔が晴れやかになった。