大阪FMラジオ局の女性広報はソプラノ歌手 高山景子さん
「わたし音楽をやってるんです」と、大阪のFMラジオ局で広報を担当する高山景子さん(36)。パッと聞いてバンドか何かと思えば、音大を出てドイツ政府給費留学生の経験を持ち、2006年には音楽の大賞も受賞したソプラノ歌手というから驚きだ。だが受賞後に目標を失い活動を縮小。音楽から離れるか悩んだ時期もあったが縁あってラジオ局広報の仕事に就き、周囲の支えを受け17日には神戸新聞松方ホールでコンサートを開催するという。新たな自分を切り開くため、日夜練習に励む高山さんの思いを聞いてみた。
兵庫県出身。母親が音楽教室の先生ということで子どものころから音楽に親しんだ。ただ、ピアノの練習は苦手。そこで「歌ならどう?」という言葉にのったことが声楽との出会いだったという。土地がら宝塚歌劇団にあこがれを抱くも「宝塚はバレエなど総合的にやらなあかんと知り、音大に進むことを決めたんです」と笑顔で振り返る。 音大進学後、2年生の時に研修で訪れたオーストリアで“ほんまもん”の声楽に圧倒された。「なんか目が覚めた感じでした。けどこれで『もっとやらなあかん』と思ったんです」。また、4年生の時に訪れたドイツへの卒業旅行でも転機が訪れる。「ベルリンで見聴きした音楽や先生のすごさすべてに、一目ぼれしたんです。同時にいつか絶対に音楽の勉強に来ようと決めました」 目標に向け努力を重ね大学院へ進学・修了。そしてついに努力が実り、2002年にドイツ政府給費留学生として、国立ベルリン大学への留学が決定。大学の卒業旅行時に決めた夢を叶えることができた。2006年には最高点を得て卒業。同年に一時帰国した際に出場した第10回松方ホール音楽大賞も受賞するなど、順風満帆な音楽人生かに思われた。 だが、この時に目標を失う。「賞をもらい自分が帰国したら何をすればええのかわからへんようになったんです」。歌唱指導の仕事などは続けたが次第に歌手活動は縮小。大きなコンサート会場で歌うこともなく、この賞で得た副賞の同ホールでのコンサート開催権も眠ったままに。そして「音楽を離れよう」と就職活動を開始。周囲からは「もう歌手を辞めるのか?」とも言われたが、ラジオ局広報の仕事に就くことができた。