不発の日ハム1番・中田翔は栗山監督の暴走采配か
日ハムの栗山監督が8日、札幌ドームで行われたソフトバンク戦で中田翔(28)をプロ10年目で初となる1番に起用するという大胆な手を打った。だが、その奇策も空回り。中田はソフトバンク先発の千賀の前に3打席連続三振で4の0に終わり、不振脱出の糸口をつかめなかった。1番が出塁せずに打線もつながらない。プロ初先発の井口にも荷が重たく2-5で敗れ5連敗、16年ぶりの借金18を抱えることになった。日本一となった昨年は、次から次へと打つ手が成功してきた栗山監督だが、1番中田は説得力に乏しい“暴走采配”だったのかもしれない。 試合前のスタメン発表にどよめきが起きた。 「1番・中田翔」 「どういう状況でも諦めない。大胆なことをやってやる」 栗山監督の決意をこめた奇策である。 チームは4連敗中だった。4番の中田は、3日の西武戦の第1打席で、本塁打を放って以来、3試合17打席ヒットがなかった。チームへのカンフル剤と中田自身へ浮上のきっかけを与えようとしたのだろう。 1番に置くことで「バットが出ない」という最悪のパターンに陥りつつあった中田の積極性を喚起しようとする狙いもあったようだが、すぐに答えとなって出るほど、この世界は甘くない。 注目の第1打席。中田は、背筋を伸ばして構え、千賀のストレートを初球、2球とフルスイングしたが、いずれもファウル。カウント2-2となってから149キロのストレートにバットは空を切った。 第2打席は、2点を追う3回一死走者無し。カウント2-2から、インハイのボール球を強引に振りにいってスイングアウト。第3打席は5回の先頭打者として迎え、またカウント2-2から、ど真ん中の甘いストレートを仕留め損ないファウルにした後、今度はストレートに緩急をつけられると完全にタイミングを外された。また豪快な三振である。千賀に3打席連続三振。第4打席は、2-4のスコアで迎えた7回の一死走者無しの場面。ソフトバンク2番手の森に対して、149キロの初球の外寄りのストレートを振りに行ったが、引っ掛けてショートゴロ。試合後、中田は「情けない」と口にしたという。 打率.224で対ソフトバンクの打率は1割台。しかも、出塁率も.324程度で本塁打の怖さはあるが走力はない。もっとも“1番らしくないバッター”を1番に置くのは、セオリーに反していた。ヨーイドンで、相手にひとつアウトを与えてしまうような確率の悪い打線の並びでは、ソフトバンクバッテリーにプレッシャーを与えることは難しい。一発さえ警戒すれば、1番ならワンヒットで出塁させても嫌らしさはない。