パリ同時多発テロ 無差別殺傷の脅威は世界に拡散するのか
また、ロイター通信は捜査関係者の話として、前述のスタット・ドゥ・フランスの自爆テロで死亡した実行犯の一人がシリア旅券を持っていたと伝えている。パスポートに記載された人物とテロの実行犯が同一人物なのかは現時点では不明だが、このパスポートを持った人物が10月3日にシリアからの難民としてギリシャに到着し、現地で旅券番号などの登録を行っていたとギリシャ政府は公式に発表している。ギリシャ国内の報道によると、ギリシャ政府はフランスの警察当局にすでにパスポートの人物の指紋などの情報を送っており、自爆犯が難民としてヨーロッパに入国していたのかが判明するのも時間の問題だ。仮に難民としてヨーロッパに入国した人物がテロに加担していた場合、ヨーロッパ国内における難民受け入れに対する議論は新たな局面を迎える可能性がある。 テロの実行犯の一人はパリ郊外に住むアルジェリア系の男性だったことも判明している。いわゆる「ホームグロウン・テロリズム」に、隣国からのテロ支援や、難民としてテロリストがヨーロッパに流入するという最悪のシナリオが全て事実として加わった場合、ヨーロッパ各国はこれまでに経験のない「ハイブリッド版テロリズム」に直面することになるだろう。 (ジャーナリスト・仲野博文)