伊藤忠、TOBでデサントを完全子会社化。直営店や自社ECによるD2C事業の成長を加速へ
伊藤忠商事は8月5日、子会社のBSインベストメントを通じてデサントの普通株式を公開買い付け(TOB)で取得することを決めたと発表した。 TOBはデサントの完全子会社化、上場廃止を目的とする。伊藤忠商事は1971年からデサントに資本参加。BSインベストメントは2019年にTOBを実施しており、現時点でデサントの株式44.44%を保有している。 今回のTOBにより保有する株式が議決権数の3分の2以上となるよう買い付け予定数の下限を22.22%に設定。下限に達しない場合は買い付けをしない。買い付け価格は1株4350円で、買収総額は約1826億円とみられる。 伊藤忠商事は、デサントは競合企業が成長するスピード感での市場への対応ができていない状況であると評価。デサントの株式を非公開化することで、上場会社同士のために限定的となっている伊藤忠商事によるデサントの経営への関与を高める考え。 具体的には、伊藤忠グループからの資金提供、オペレーションやデジタル関連ノウハウの共有、人材派遣などを積極的に実施。これによりデサントのブランド運営・生産連携強化や海外事業の強化・拡大を図っていく。欧米などへの再進出の動きも加速させる。 完全子会社化後は、デサントが注力している直営店や自社ECによるD2Cの成長も支援していく。 店舗の業態変化や売場の改装により、「デサント」ブランドの直営店事業は前年比70%増で伸長。自社ECは商品ディテール画像の拡充などによる利便性改善に積極的に取り組んでいる。デサントのDtoC事業は売上高に占める比率の目標を55%としており、2023年度で44%と2020年度から約8ポイント増えた。 オンライン会員に対する実店舗の来店特典の充実化や、実店舗の立地を踏まえた顧客属性や購買傾向、リアルタイムのデータを反映した実店舗陳列商品のアップデートや在庫補充などDX化によるより良い顧客体験の提供などD2Cビジネスの伸長に向けた取り組みを加速させたいとしている。