【衆院選での失速が顕著に】代表選直前の日本維新の会・立候補者の面々に見る「深刻な人材不足」の背景
“一人負け”を受けて…
12月1日に投開票を迎える日本維新の会の代表選が、どうにも盛り上がりに欠けている。 【人材不足が背景か】維新の会・代表選で本命に躍り出た人物の「素顔」 衆議院選挙では議席数を改選前の44から6減らした。共産党、社民党を除く野党が大幅に議席を伸ばしたのに対し、日本維新の会は“一人負け”という格好となった。 馬場伸幸代表(59)は衆院選の結果を受けて辞任。新たに代表選が行われる運びとなった。早々に大阪維新の会の代表の継続が決まった吉村洋文大阪府知事(49)、金村龍那衆院議員(45)、空本誠喜衆院議員(60)、松沢成文参院議員(66)の4名が候補者となっている。 興味深いのが、吉村知事以外の面々が全て本丸である大阪以外の選挙区の面々であるということだ。ここに維新「大阪組」の危機感が見え隠れする。大阪維新の会に所属する議員がこう明かす。 「衆議院選挙では大阪は全勝。ですが、直前までギリギリの戦いだった選挙区も3つ、4つある。自民党の衆院選候補者の党支部に2000万円を支給した『2000万円問題』で自民が自滅してくれたことで、大きく風向きが変わったことに助けられた面もあったのです。正直、次の選挙は大阪も危ない。そんな危機感を背景に、大阪組の大多数は吉村支持で一致した。圧倒的な知名度を誇る吉村さんを推す声が強いのは必然でした」 党内では日本維新の会の代表選も吉村知事の確勝だ、という見方が強い。よほどのことがない限り、大阪府知事、大阪維新の会代表、日本維新の会代表の三足の草鞋を履くことになるだろう。しかし、永田町では懐疑的な声も目立つ。自民党のベテラン議員が苦言を呈する。 「常識的に考えて、国政運営と知事職の両立は難しい。そもそも地方行政と国政が大きく異なるからです。改革政党を前面に打ち出したところで、数の論理や他党との連携がなければ絵に描いた餅でしかない。前体制はそれをよく理解していたと思います。少なくとも国政については馬場代表のままのほうが良かったまである、という未来も予測できる」 ◆「人材不足」の現状 立憲民主党のベテラン秘書は自党に重ね合わせ、こう説明する。 「ウチの代表選も盛り上がったとはいえませんが、吉田晴美衆議院議員(52)が手を挙げたことで、党内からは安堵の声があがった。女性の有力候補者がいない政党は求心力を失う傾向にありますからね。事実、代表選出馬を境に吉田議員への応援要請が増え、知名度や党内での存在感が増す形となった。それに、目新しさながないと党員や世間から飽きられてしまう。維新の代表選に足りないのは、まさにその部分だと思いますよ」 維新の会の周辺を取材すると、必ず聞こえてくるのが「人材不足」というキーワードだ。SNSなどの活用や有権者の目に止まりやすい言動には積極的だが、いわゆる他党との調整役や政策実現のための汗かき役や地を這う活動ができる人材が少ない。「汚れ仕事ができる議員が減った」と嘆くのは、日本維新の会の関係者だ。 「藤田文武衆議院(43)が幹事長に抜擢されたのも、そういった資質を見抜かれたからでした。党内トラブルやスキャンダルに逃げずに対応できる議員が本当に少ない。仮に吉村さんが代表に就任した場合、まず問われるのは裏方や調整役としての能力となるでしょう。政策面では、小野泰輔前衆院議員(50)の落選が大きな痛手でした。非常に能力が高い議員でしたから」 衆院選後に行われた共同通信の世論調査でも支持率を落とした。新代表の就任が起爆剤となればいいが、党内の反応は懐疑的だ。前出の大阪維新の会所属議員が言う。 「吉村さんは最後の砦です。本人もこのタイミングでの日本維新の会の代表就任は望んでいなかったはずです。それでも周囲から請われ、重い腰を上げることになった。来夏の参院選の結果が、本当の意味で党の今後を占うことになる。春からは大阪万博の対応という爆弾もある。 大阪に近い選挙区からいい候補を立てていく方針ですが、戦える“玉”は限られています。チャンスがある兵庫、京都にその傾向は顕著です。関西圏では知名度抜群の元関西テレビアナウンサーの新実彰平さん(35)を京都で擁立できたことは大きいが、政治家としての資質という点では未知数ですから」 変革期に直面している日本維新の会。はたして新代表は、党内に漂う閉塞感を払拭することができるのだろうか。
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