ディーン・フジオカ、俳優として、アーティストとして目指す場所 親友との約束への決意も
ディーン・フジオカ、亡き親友との約束「東京ドームでライブ」への思い
ーー道元は責任ある立場で、人の上に立つリーダー的な存在でもあります。ディーンさんも主演としてみんなをまとめることが多々あると思いますが、そういうときに何か意識していることがあれば教えてください。 ディーン:自分が俳優として真ん中に立つときに特別何かをするということはないかもしれません。プロデュースまで携わっていたらまた別ですけど、やっぱり俳優部の1人として作品に参加しているという意識が強いんですよね。監督やプロデューサーをはじめ、いろんな部署の方とコミュニケーションを取りながら、ワンテイクワンテイク、ベストを目指していく。そこに尽きるのかなと。 ーーなるほど。 ディーン:あとは、みんなが心地良く、楽しくいられるような現場にしたいという意識はあります。どんなにシリアスで重い作品でも、絶対に現場には笑いがあったほうがいい。長い時間みんなで撮影をしていくのって、体力的にもメンタル的にも本当にタフな作業なんですよね。だからこそ、カメラが回っていないところでは片肘張らなくていいような空気にしたい。それは座長としての意識というよりも、そのほうが自分自身もラクなので(笑)。 ーーということは、主演のときとそうでないときとではスタンスは変わらないと。 ディーン:そうですね。ただ、プロモーションにおいては変わってきます。作品のプロモーション活動をするときは、主演作品でもあれば「なんでもやります」というスタンスになりますね。自分が作品を背負っているわけなので、その作品に関わってくれた人たちに「参加してよかった」と思ってもらえる結果に繋げたい。そういう気持ちはより強くなります。 ーー俳優をはじめ、監督やプロデューサー、アーティストと多岐に渡るご活躍をされていますが、そんな中で“挫折”を味わった経験はありますか? ディーン:毎日挫折してますよ。寝れないときは本当に寝れないですし、昨日も今日も「生きていくのって大変だな」なんて思いながら今ここにいます。 ーー具体的にどういうことで挫折したりするんですか? ディーン:詰まるところ人間関係かもしれないです。やっぱり1人では何も成し遂げられないですし、結局は人との関係性が大事になってくる。ただ、同じ志を持った人と同じ方向に向かっていくのって結構大変で。そこがなかなかうまくいかないなと感じることが最近は多いです。 ーーそういう困難に直面したとき、どうやって乗り越えていくんでしょうか。 ディーン:自分が相手のことを信じるしかないですね。乗り越えられると信じて、ポジティブな姿勢を貫く。それでダメだったら、次に行く。とにかく前に進むことが大事ですよね。常にベストな選択ができなかったとしても、その選択肢の中で少しでもベターな方向に向いていければ、いい未来が開けていくのではないかなと思っています。 ーーディーンさんは常に新しいことにチャレンジされている印象がありますが、いまご自身の中でチャレンジしてみたいことがあれば教えてください。 ディーン:去年の年末くらいからずっと考えているんですが、東京ドームでライブをやること。ドームツアーを目標にしています。去年武道館でやらせてもらったときは、自分が10代の頃に初めてメタリカのライブを観た場所が武道館だったので、そういう特別な思いを抱いたりしたことはあったんですけど、いままでは正直、会場の大きさはあまり気にしていなかったんです。どちらかと言うと、みなさんと同じ空間を共有して、音楽でまっすぐ勝負したいと思っていて。でも去年、長らくずっと行動を共にしてきた親友が亡くなってしまったんです。自分が何者でもなかったときから、彼とはいろんなことを語り合ったんですけど、その中で果たせなかった約束が東京ドームでライブをやることでした。何気ない会話の中でノリで出てきたような話だったんですけど、残された自分が前に進むために、ちゃんと目標として立ててやっていこうと思うようになりました。それは歌い手としての自分の成長にも繋がると思うので。先日ビルボードライブツアーを行いましたが、お客さんとものすごく近い距離で、とてもワクワクするようなライブができたんです。会場が大きくなって、お互いの顔がわからないくらいの距離感になっても、そうやって同じように共鳴したいと思ったんですよね。そのときその場所に一緒にいるという特別な意味を生み出せる表現者になりたいと思ったときに、東京ドームは最高のベンチマークになるんじゃないかなって。正直、どうやったら辿り着けるのかは自分でもわからないですけど、とにかくそこに向けて日々努力し続けていきたいなと思っています。
宮川翔