「物価高で苦しいのに、ごみ袋まで」大幅値上げ続出 反発受けた市長は落選 なぜ今?
▽「透明化が重要」 瀬戸市同様、値上げを図ったがうまくいっていない例も続く。浜松市は値上げ条例案を今年の9月議会に提出する検討をしていたが、物価高などを受けて見送った。議会でも賛否が割れているという。ごみ減量推進課の鈴木浩之課長はこう語る。 「市民目線で家計への影響を見ながら、検討を続け、年内に改めて判断したい」 長野県飯田市は昨年4月、製造業者から指定ごみ袋の50円アップは避けられないとの見通しを伝えられた。現在、新型コロナウイルス関連の交付金を用いた補助金で価格を維持している。「財源の問題もあり、いつまで補助を続けられるかは不透明」(担当者) ▽「ごみの減量効果や使途を住民に明示することが重要」 住民との合意形成に向け、自治体にはどのような対応が求められるのか。ごみ問題に詳しい東洋大の山谷修作名誉教授(環境政策学)はある自治体でごみ袋値上げの制度設計に携わった際、住民にアンケート調査を実施。その結果、「収入の使途を明確化してほしい」という意見が最も多かったと指摘した上で、こう説明した。
「値上げした場合に見込まれるごみの減量効果や、自治体に新たに生じる収入の使い道を明確に示すことが合意形成につながる。金銭負担が増えることは誰にとっても嬉しいことではないものの、処理費用が圧縮されれば住民サービスを手厚くできる。指定ごみ袋値上げの可否を問わず、ごみ減量の効果は大きく、古紙収集袋を全戸配布するといった取り組みを通じ、全住民の分別意識の向上に取り組む必要がある」