元乃木坂46の伊藤万理華、障害当事者ら出演 NHKの“脱・感動ポルノ”は成功するか
“感動ポルノ”として描こうとするテレビに反発するハルの言葉
未来は脚本を書くために現場の様子を観察する「シナリオハンティング」に出向く。取材先の高校で出会ったのは、電動車イスの少女・宮島ハル(和合由依)だった。明るい笑顔でバスケットボールを楽しむ彼女の様子に目を奪われる。 未来の企画書を見たハルは「この書き方、あまり好きじゃないです」ときっぱり。「『障害にめげず』とか『障害を乗り越えて』とか書いているけど、障害のある人が何かで壁を感じる時って、『社会』の方に問題がある。だから、それはその人が『乗りこえる』ことじゃない……みたいな考え方。いま高校生でも習う当たり前のことなんですけど」。そんな“当たり前”を理解できない、テレビの旧態依然とした姿勢にハルは強く反発したわけだ。 ハルは障害者が多く参加する劇団で芝居をしている。未来は、主役としてドラマに出演してほしいと彼女に依頼するが、逆になぜ自分に依頼をするのか、問い質される。 「車イスっていうわかりやすい障害があるから?」 「障害を利用するみたいな使い方だったらお断りです」 捨てゼリフを残し、ハルは去っていく。
障害者のクオータ制を提案した藤谷編成部長
編成部長の藤谷は、企画がより「多様性」にふさわしくなるよう、出演者の割合に数値目標を設けようという一種のクオータ制を提案する。「たとえばやな、このパーセントというタイトルにちなんで、出演者の10%に障害者を起用する。これを大々的に打ち出すっていうのはどうや? イギリスのBBCでもこういう数値目標を掲げてやっとるやろう? それに倣って、ちゅうことで…」 BBCのドラマが、街中のシーンでも「障害者がいる光景」を意識してもらえるよう、障害者を登場させていた話は知られている。 そして藤谷部長はこう口をすべらしてしまう。 「あらゆる人に平等に機会を作ろうっていう話や。今回、君の企画が通ったんもそれと同じことや」 ドラマの企画が通ったのは内容がよかったからだと思っていたが、“若い女性”の企画というジェンダーバランスへの配慮もあった。そう聞かされて未来は複雑な心境だった。