ボルボ新型「ES90」 全長4.9m、同社初の “高級電動セダン” 来年3月に公開へ BMW i5などに対抗
グローバル向けだが焦点は中国
ボルボは来年早々、同社初のフル電動セダンとして「ES90」を発表する準備を進めている。5車種の次世代EV群の先陣を切るフラッグシップモデルとなる。 【写真】ボルボの「未来」を占う最新SUV【ボルボEX90を写真で見る】 (36枚) 新型ES90は、エンジンを搭載する現行型S90とは対を成す存在で、BMW i5やメルセデス・ベンツEQEといった高級電動セダンのライバルとなるだろう。来年3月にスウェーデンのストックホルムで開催されるイベントで正式公開される予定だ。グローバル向けに販売されるが、中国市場に焦点を当てて開発が進められている。 電動SUVのEX90と技術的に密接な関係にあり、同様に、販売台数を牽引するというよりは、ブランドの象徴的な役割を担うことになるだろう。 ボルボのEV販売において主力となるのは、2026年に発売予定の新型EX60だ。ベストセラーのXC60に相当する中型電動SUVで、新世代のプラットフォームを採用する。 ボルボは現在、ES90とEX60に加えて、さらに3車種のEVを開発中だ。EX60のベースとなるプラットフォームは、幅広いボディスタイルに対応しており、ステーションワゴンが生まれる可能性もある。また、ボルボは最終的にEV専用ブランドになることを目指しているが、PHEVおよびマイルドハイブリッドの廃止計画は延期し、今後数年間でエンジン搭載車のラインナップを刷新する予定だ。
セダンにも一定の需要を見込む
現行のEVラインナップとしては、電動SUVのEX30、XC40/EX40、C40/EC40、EX90と、中国専用の電動ミニバンであるEM90を販売しているが、セダンタイプのEVはES90が初めてとなる。 世界的なSUV人気を反映したラインナップ構成だが、ボルボの最高経営責任者(CEO)であるジム・ローワン氏は最近、今後も多様なラインナップを提供していくと語った。「当社はMPV(ミニバン)だけでなく、セダン、ワゴン、そしてもちろんSUVも取り扱っている。当社は企業として、そのような広がりを持っているという良いポジションにいる」 ローワンCEOは、SUVが今後も販売の大部分を占める可能性が高いとはいえ、電動セダンにも十分な見込みがあると付け加えた。「当社は自動車市場の1%を占める、高級車メーカーだ。EV時代にも高級セダンの需要はある。その(需要の)多くは中国で見られるが、世界の他の地域でもまだ需要がある」 また、中国の高級車ユーザーは後部座席に「長いレッグルーム」のあるセダンを好むとして、同市場を中心にES90を開発するという。 ボルボが公開したES90の予告画像では、現行のS90と同様のサイドプロファイルを持ち、クローズドグリル、「トールハンマー」型のヘッドライト、直立形状のリアライトなど、EX90のスタイリングも取り入れることが確認されている。 プラットフォームには、EX90で使用されている「SPA2」を採用する見込みだ。 昨年リークされた情報によると、ES90の全長は4999mmでS90よりわずかに長く、ホイールベースは3100mmで室内空間の最大化を図っているようだ。 EX90と同じく、シングルモーターの後輪駆動モデルとツインモーターの全輪駆動モデルが用意され、111kWhのバッテリーにより航続距離は最長600kmとなるだろう。 また、先進的な「ボルボ・カーズ・スーパーセット(Volvo Cars Superset)」と呼ばれる「技術スタック」を中心に開発される。これはインフォテインメント・システム、自動運転機能、その他さまざまなシステムの組み合わせを、積み木のように想定して構成していくというものだ。今後のボルボ車に広く採用され、無線アップデート機能にも対応する。
ジェームス・アトウッド(執筆) 林汰久也(翻訳)