障がい者向けグループホーム運営めぐる不正請求問題…厚労省「連座制」で県内施設も運営不能に(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
障がい者向けグループホームを運営する「恵」による不正請求問題で、厚生労働省は静岡県内の施設を含めて「恵」が運営する全国すべての障がい者グループホームで、事業指定の更新を認めないという処分を発表しました。 (26日・厚生労働省) 「明らかに組織として本社が食材料費の過大徴収に関与したという動かない証拠だと我々は考えています」 全国で障がい者向けのグループホームを運営する「恵」。厚生労働省によりますと、利用者が支払う食材費計約3億円を過大に徴収していました。 過大徴収は「恵」が運営する静岡県内の施設でも。県や静岡市によりますと、県内で過大徴収があったのは「グループホームふわふわ駿河丸子」や「グループホームふわふわ富士松岡」など4つの施設で34人の利用者に対し125万4000円あまりを過大に徴収していたということです。 県が2023年9月、障害者総合支援法に基づく立ち入り検査を行ったところ、2021年度に開所した3施設で過大徴収が発覚。2024年2月に改善指導を行いました。 また、静岡市は2023年7月に現地調査を実施し、食材費として徴収していた費用を光熱費などに補填していたことが判明。事業者は市に対し「認識不足だった」と説明しているということです。静岡市の施設関係者は、Daiichi-TVの取材に対し「自分たちも知らないので答えられることは何もない」と話しています。過大徴収分は県や市の指導により6月までに利用者に全額返金しているということです。 厚生労働省は、26日、過大徴収に組織的な関与があるとして、今後、事業所の指定・更新を認めない、いわゆる「連座制」を適用すると発表。これにより、県内すべての施設で、早ければ2027年にも指定の更新を受けられなくなり、 事実上、運営できなくなります。 「恵」は、2022年4月にも、定期的に行う立ち入り検査で、実費で徴収すべき利用者の食材費を水増し請求していたことが発覚していました。施設で約2年間働いていたという元職員は。 (愛知県内の「恵」元職員) 「意思疎通が取れない利用者がとても多かったので、この人たちにこういうご飯を与えてもわからないだろうと、それをいいふうに本部とか上の人間はやっていた」 愛知県内の施設で、実際に提供されていたという夕食。これに、ご飯とみそ汁が付き、おかずは量が多く見えるように盛り付けでごまかすこともあったといいます。 利用者の家族などからは、障がい者支援にかかわる東海地方の3団体に、160件を超える“不安の声”が寄せられているということです。県の福祉指導課は、「適切なサービスの提供を徹底するよう引き続き指導を行う」と話しています。