大阪から大分へ 一から観光まちづくりに携わる男の生き方
20年間大阪北区でペンションを経営してた
大阪から大分へ 一から観光まちづくりに携わる男の生き方 李有師さん THE PAGE大阪
熊本地震発生から14日で3か月。未だに避難生活を強いられる人もおり、熊本をはじめ、隣接する大分県などでは観光面でも大打撃を受けるなど復興に向けての課題は多い。関西でも熊本や大分など観光PRの催しなどが開かれているが、先月行われた「関西大分県人会春季総会」で若者が復興を願い、伝統的な「神楽」を披露している姿を見かけた。その横で「彼らは朝一番大分から来たんです。ぜひ見てください」と大阪弁で懸命に周知している男性がいた。聞けば、かつては大阪でペンションを営み、現在は大分県に移って「観光まちづくり」を進めているという。なぜ、大分でそのような活動をしているのかを尋ねてみた。
観光はその土地で生活する人とのふれあいがデラックス
大分県豊後大野市で観光まちづくりを進めているのは、ぶんご大野 里の旅公社専務理事を務める李有師さん(61)。大阪市生野区生まれで、27歳の時に滋賀県琵琶湖畔でペンションを経営。94年には、大阪市北区の天満天神繁昌亭近くで「街角のペンション」を開業した。 「当時は大阪でペンションなんてと言われましたね」と李さん。しかし、これにはちゃんとしたねらいがあった。「観光のデラックスとは、その土地の普通に暮らしてる人と、普通に接することやと思うんです」 李さんは、その時「大阪の観光はどこにあんねん?」と感じていた。そこで、大阪の観光的な魅力は大阪人とスッピンで出会えることが旅をする人の「デラックス」と考え、都心で開業を決めた。その結果、外国人旅行者などにも評判を呼び、街角のペンションはにぎわいをみせたという。 だが「5年くらい前から、各地で街全体で『観光をとにかくやるんや』というところがたくさん出て、旅行業法に基づかないようなところも出てきて」。そんな現状を見て20年間やってきたペンションを一つの区切りとして閉じた。そして「観光のかの字もないところでもう一回やってみたい」と思い、2014年から豊後大野での観光まちづくりを行うことになった。