91歳・黒柳徹子の名字のルーツ もとは「畔柳」…難読だったから、見慣れた漢字に変えちゃった?
今年8月で91歳を迎えた黒柳徹子。司会を務めるテレビ朝日系「徹子の部屋」は49年目に入り、放送回数は1万2000回を超えるというギネスブック入りの長寿番組だ。これまでにNHK「紅白歌合戦」の司会も6回務めたほか、現在もユニセフ親善大使など、多岐にわたる活躍を現在も続けている。 【動画】黒柳徹子「私、まだまだ浮ける!」 バンコクのプールで「水中ヨガ」に挑戦 黒柳徹子が有名なため、「くろやなぎ」というと「黒柳」という漢字を思いうかべるが、ほかに「畔柳」という書き方もある。実はこの二つの名字、「黒柳」がやや多いという程度で、人口的にはそれほど変わらない。 名字ランキングでは「黒柳」「畔柳」ともに2500位前後で、いずれもメジャーな名字である。そして、ともに愛知県をルーツとし、岡崎市周辺に集中している。実は愛知県内では「畔柳」の方が多く、もとは「畔柳」だったとみられる。 では、「畔(くろ)」とはなんだろうか。 「畔」とは、田と田の間に境界線として土を盛り上げた部分を指す。西日本では「あぜ」ということが多く、東日本では「くろ」が多い。そして、「くろ」がより古い言い方である。この「くろ」には柳を植えることがあった。柳は地中に根を張り、「くろ」の部分の土をしっかりと固定することに役立った。そもそも柳は水辺に生える木で、名字を見ても「柳川」「柳田」「柳沼」「柳沢」など、水と関係する場所に因むものが多い。 つまり「くろやなぎ」とは、「くろ」に植えられた柳が名字の由来で、本来は「畔柳」と書かれていた。しかし、「畔柳」では難読のため、のちに読みやすく「黒柳」に変えたものだろう。 とくに他地域に転出した「畔柳」さんは、「黒柳」に変えることが多かった。難読の名字は、地元では普通に読まれるが、他地域に移り住むと、なかなか正しく読んでもらえない。そのため、漢字の読み方通りに変えたり(玉置,たまき→たまおき)、漢字そのものを分かりやすい漢字にしたり(こうけつ,纐纈→交告)することは珍しくない。 「畔柳」も「畔」というあまり見慣れない漢字から、わかりやすい「黒」に変えて「黒柳」と書く人が増えていった。そのため、ルーツから離れた静岡県や長野県にある「くろやなぎ」さんは、ほぼ「黒柳」と書く。 ◆森岡 浩 姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。学生時代から独学で名字を研究、文献だけにとらわれず、地名学、民俗学などを幅広く取り入れながら、実証的な研究を続ける。NHK「日本人のおなまえっ!」にコメンテーターとして出演中。著書は「47都道府県名字百科」「全国名字大事典」「日本名門名家大事典」など多数。
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